1)携帯式光モニター系の有効性に関する予備的検討を行なった。Mini-Mitter社のActiwatch-Lは、本来、手首に装着して身体加速度を計測し、その付加機能として前腕部での受光量を計測するものである。我々は小型・軽量の受光量計としてのActiwatch-Lの利点を生かして、目に比較的近く目と同じ方向を向く確立の高い胸部前面にその器具を固定することで、目の受光量との近似性が高く、かつ簡便に実施可能な受光量モニターを実現しようと考えた。アメリカ西海岸への1週間前後の旅行を行なった男性に、出発前1週間、旅行中、および帰国後1週間の計3週間にわたりActiwatch-Lの衣服前胸部への装着を依頼し、1分ごとの受光量を連続モニターした。その結果、行動記録に合到した受光量の変動が認められ、またActiwatch-Lの本来の計測項目である加速度のデータも行動記録と合致していた。すなわちこの方法は、被験者の負担を小さく抑えながら目の受光量および身体活動量を長期間連続してモニターするために極めて有効であると考えられた。 2)生理実験室での睡眠実験で得た1時間おきの血漿メラトニン濃度と心拍R-R間隔の時系列データとの比較解析を試みた。20代〜30代男性10名での、1名につき4夜、計40夜のデータを解析した結果、心拍数や心拍変動指標のマーキングポイント(最小・最大時刻など)とメラトニンのピーク時刻との一致率は低く、心電図R-R間隔の時系列データから単純に算出される指標にはメラトニンの分泌動態と関連深い情報はあまり含まれていない事が示唆された。
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