1)ヒトの受光パターンと内分泌動態との関連を調べるにあたっては、予め調査対象者(被験者)の内因性概日リズムを調べたうえで、そのリズムの位相を被験者間もしくは被験者内でそろえておく必要がある。現在のところ、ヒトの内因性リズムを最も正確に計測する方法は、血液の頻回採取によりメラトニンの分泌動態を評価することであるが、この方法はその大きな侵襲性のためにフィールドで適用することは不可能である。そこで、メラトニン測定に代わる生体リズム評価の簡易法としての心拍モニターおよび体動モニターの可能性を探るべく、今年度は、以下のような方法論上の改善・拡大を図った。(1)心拍RR間隔のスペクトル解析の能力を上げるために、これまで使用していたMS-DOSプログラム(Turbo Cで作成)に代わり、Visual C++6.0を用いてWindowsプログラムを新たに作成した。(2)スペクトル解析に加えて、非線形時系列解析のアルゴリズムを心拍変動解析に導入した。試みに最大Lyapnov指数や相関次元を数日間の心拍RR間隔データで算出したところ、明瞭な1日リズムが認められた。(3)胸部電極一体型の心拍RR間隔+体動・体勢連続記録計を新たに作成することを検討し、ワンチップ・マイコンとEEPROMによる作製の目途がたった。 2)受光量・体動モニター計(Mini-Mitter社製Actiwatch-L)と心拍RR間隔モニター計(Mini-Mitter社製ML-2000)の2日間連続装着、および夜間尿の2夜採取を20代男子6名に実施させた。現在、心拍RR間隔のスペクトル解析および非線形時系列解析、受光量と心拍データの相関分析、および夜間尿のホルモン(メラトニン、コルチゾール)測定を実施中である。
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