研究概要 |
1.NO2曝露が鼻および眼アレルギー反応におよぼす影響と閾値の推定 1-1. 1,3,10ppmNO2が抗原の繰り返し点鼻または点眼投与による鼻アレルギーまたは眼アレルギー反応をくしゃみおよび鼻汁分泌量または結膜における血管からの血漿の漏出を指標に検討をした.NO2濃度に依存して鼻アレルギー反応または眼アレルギー反応を増悪させることを見いだした.鼻アレルギー反応または眼アレルギー反応を増悪させるNO2濃度の閾値はいずれも1ppmあたりであることが明らかになった. 1-2. NO2曝露が抗原の繰り返し投与による鼻または眼アレルギー反応を増悪させるかどうかを病理組織学的手法を用いて検討し,鼻粘膜上皮および上皮下への好酸球の浸潤がNO2粒子濃度に依存して増加することが見いだされた.また,結膜においても増加する傾向が見られた. 2.NO2曝露が鼻および眼アレルギー反応におよぼす影響機構の解析 NO2曝露が鼻および眼アレルギー反応におよぼす影響機構として過敏になるかどうかおよび抗原特異的産生を増加させるかどうか検討した. 2-1. NO2曝露はヒスタミンに対する鼻の反応性を亢進させ過敏にすることが見いだされた.生理食塩水の点鼻投与による弱い物理的な刺激に対する反応性は亢進しなかった. 2-2. NO2曝露は抗原の繰り返し点鼻および点眼投与による抗原特異的抗体産生に影響をおよぼさなかった. これらのことから,NO2曝露は比較的高い濃度で,抗原の繰り返し点鼻または点眼投与による鼻アレルギーまたは眼アレルギー反応を,好酸球性炎症を増悪させ鼻や眼の過敏をおこさせることにより,増悪させることが示唆された.
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