大気汚染物質が鼻および眼アレルギーにおよぼす影響とその機構に関する研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11470116
• 研究機関: 独立行政法人国立環境研究所
• 研究代表者: 小林 隆弘 国立環境研究所, 環境健康研究領域, 上席研究官 (50124342)
• 研究分担者: 細川 友和 星薬科大学, 薬学教育センター, 助教授 (00101577)
• キーワード: ディーゼル排気中ガス状成分曝露 / 鼻アレルギー / 眼アレルギー / 血漿の漏出 / 好酸球 / 鼻過敏 / 抗体産生 / 花粉症

研究概要

1.ディーゼル排気中ガス状成分曝露が鼻および眼アレルギー反応におよぼす影響
1-1. 1.6mg/m3および0.3mg/m3の粒子状物質を含むディーゼル排気から粒子状成分を取り除いたガス状成分の曝露が抗原の繰り返し点鼻または点眼投与による鼻アレルギーまたは眼アレルギー反応をくしゃみおよび鼻汁分泌量または結膜における血管からの血漿の漏出および症状スコアーを指標に検討をした。ガス状成分の濃度に依存して鼻アレルギー反応または眼アレルギー反応を増悪させることを見いだした。また、ディーゼル排気と粒子状成分を取り除いたガス状成分の影響を比較すると増悪作用は弱まることが見いだされた。
2.ディーゼル排気中ガス状成分曝露が鼻および眼アレルギー反応におよぼす影響機構の解析
ディーゼル排気中ガス状成分曝露が鼻および眼アレルギー反応におよぼす影響機構として過敏になるかどうかおよび抗原特異的産生を増加させるかどうか検討した。
2-1. ディーゼル排気中ガス状成分曝露は生理食塩水の点鼻投与による弱い物理的な刺激に対する反応性を有意に亢進させることはなかった。
2-2. ディーゼル排気中ガス状成分曝露は抗原の繰り返し点鼻および点眼投与による抗原特異的抗体産生に有意な影響をおよぼさなかった。
これらのことから、ディーゼル排気中ガス状成分曝露は比較的高い濃度で、抗原の繰り返し点鼻または点眼投与による鼻アレルギーまたは眼アレルギー反応を増悪させることが示唆された。ディーゼル排気から粒子状成分を取り除くと増悪作用は弱まることが見いだされた。

研究成果

• [文献書誌] E.Koike, T.Kobayashi et al.: "cDNA Microarray Analysis of gene expression in rat alveolar macrophages in response to organic extract of diesel exhaust particles"Toxicol. Sci.. 67. 241-246 (2002)
• [文献書誌] E.Koike, T.Kobayashi et al.: "Ozone exposure enhances expression of cell-surface molecules associated with antigen-presenting activity on bronchoalveolar lavage cells in rats"Toxicol. Sci.. 63. 115-124 (2001)
• [文献書誌] M.K Iijima, T.Kobayashi et al.: "Exposure to ozone aggravates nasal allergy-like symptoms in guinea pigs"Toxicol. Letters. 123. 77-85 (2001)
• [文献書誌] E.Koike, T.Kobayashi et al.: "Effect of exposure to nitrogen dioxide on alveolar macrophage-mediated immunosuppressive activity in rats"Toxicol. Letters. 121. 135-143 (2001)
• [文献書誌] T.Kobayashi: "Exposure to diesel exhaust aggravates nasal allergic reaction in guinea pigs"Am. J. Respir. Crit. Care Med.. 162. 352-356 (2000)
• [文献書誌] E.Koike, T.Kobayashi et al.: "Effect of aging on nitric oxide production by rat alveolar macrophages"Exp.Gerontol. 34. 889-894 (1999)
• [文献書誌] K.Hiruma, T.Kobayashi et al.: "Effectof diesel exhaust on guinea pig nasal mucosa"Ann. Otl Rhinal. Laryngol.. 108. 582-588 (1999)
• [文献書誌] E.Koike, T.Kobayashi et al.: "Mechanisms of ozone-inhibitory effect of bronchoalveolar lavage fluid on alveolar macrophage-mediated immunosuppressive activity in rats"J. Leukoc. Biol.. 66. 75-82 (1999)
• [文献書誌] 小林隆弘: "喘息と外的要因 大気汚染との関連"臨床雑誌「内科」. 90. 607-610 (2002)
• [文献書誌] 小林隆弘, 細川友和: "花粉症の発症と大気汚染"アレルギー科. 12. 331-337 (2001)
• [文献書誌] 小林隆弘: "SMP(浮遊粒子状物質)"安全衛生のひろば. 12. 46-47 (2000)
• [文献書誌] 小林隆弘: "入門 大気汚染微小粒子の環境・健康影響"横山栄二, 内山巌雄 編. 199 (2000)