研究概要 |
[材料と方法]Y染色体長腕centromere近傍のcosmid libraryを徳島大学中堀教授より供与を受けた。四塩基繰り返し配列DNAは20塩基長のものを合成して用いた。Probeの標識にはAmershamの3'末端ラベル&増幅キットを用い,FluorImagerで検出した。制限酵素断片からの繰り返し配列を含む断片の選択にはbiotin-avidin-磁気ビーズ法を用いた。選択した断片はTA cloningの後,PE310又は島津DSQ2000Lにより塩基配列を決定した。 [結果と考察]合成四塩基繰り返し配列DNAを数種混合したものをprobeとし,224個のcosmid cloneとcolony hybridzationをおこなって,18個の陽性cloneを得た。全ての陽性cloneよりcosmid DNAを調整し,dot hybridization法で特異性を調べたところ,TCTG又はTATGの配列が含まれていた。これらのDNAを制限酵素により断片化し,adapterを両端に結合させてPCR増幅したDNAから,繰り返し配列を含む断片を磁気ビーズ法で選択した。更にこれからsubcloningして得られた1〜2kbの繰り返し配列を含むclone DNAの塩基配列を決定した。得られた配列について,DNA Databasesの検索をした結果,1個はY染色体上の配列(GenBank)とほぼ一致し,1個は未知の配列であった。各塩基配列から,繰り返し配列を含む部分のPCR増幅用のprimersを合成し,20名の男性のゲノムDNAで多型を調査したところ,1個は多型を示した。また,いずれも数名の女性ゲノムDNAでは対象部位を増幅することができなかった。以上,今回使ったcosmid libraryから,少なくとも1個の男性に特異的なDNA多型部位を発見することができた。
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