前年度に発見したヒトY染色体DNA多型マーカーをYfm1と命名し、ゲノムDNAを鋳型にして合成したPCRプライマーによって増幅される部位が、Yq11.21-q11.23であることをFISHにより確認した。ヒト女性のDNAでは検出されず、男性に特異的であること、150名の血縁関係のない男性の集団遺伝学的調査から少なくとも7アレルと1から13サブアレルより構成される多型が認められることを確認した。また、20組の父子間で、アレルおよびサブアレルを含めてYfm1型が完全に一致していることを見出した。 更に、Y染色体ゲノムデータベースの解析から、DYS441およびDYS442の2種類のY染色体DNA特異的4塩基繰り返し配列多型マーカーを新たに発見した。この成果は、International Journal of Legal Medicine(2001年)に掲載予定である。 一方、HumanSTS、UT413(DYS384)と過去に報告されていた多型部位が、X染色体DNA多型マーカーであることを我々は一昨年来報告しており、DXS10011としてGDB(Genome Data Base)に登録し、X q27-q28に局在することを報告した。DXS10011型は従来から平板ポリアクリルアミドゲル電気泳動後に蛍光染色して検出していたが、6FAMで標識した合成プライマーを用いてゲノムDNAをPCR増幅し、キャピラリー電気泳動法で分離検出することにより、より簡便で迅速かつ高感度にDXS10011型を判定できる方法を開発し、DNA多型(vol.IX)に掲載予定である。
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