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2000 年度 実績報告書

抗カルジオリピン抗体と閉塞性血管病変に関する研究-血栓症と動脈硬化-

研究課題

研究課題/領域番号 11470122
研究機関北海道大学

研究代表者

小池 隆夫  北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80146795)

キーワード抗リン脂質抗体 / 抗リン脂質抗体症候群 / 血栓症 / 流産 / エピトープ / スシドメイン / ランダムペプチドライブラリー / β2グリコプロテインI
研究概要

抗リン脂質抗体症候群は、血栓傾向に加えて抗リン脂質抗体といわれる自己抗体が検出される頻度の高い自己免疫疾患である。抗リン脂質抗体の主要な対応抗原であるβ2グリコプロテインI(β2GPI)のエピトープ分布を、モノクローナル抗体とランダムペプチドライブラリーを用いて解析した。昨年X線結晶解析によりβ2GPIの立体構造が2つのグループにより示された。そこで得られた候補ペプチドのシークエンスを立体構造上で同定したところ、患者由来のヒト型モノクローナル抗体やループスマウス由来モノクローナル自己抗体の対応エピトープは第IVドメイン上に存在することがわかった。このエピトープの部位は第IIIドメインで被われており、通常では露出されていないが、β2GPIの第Vドメインとリン脂質との相互作用によって全体の構造が変わって表面にあらわれ、ここに自己抗体が反応しうると考える。したがって、抗β2GPI自己抗体がβ2GPI単独には反応せず、リン脂質との結合により構造変化したβ2GPIにのみ結合するという事実をこのモデルは説明した。
また、β2GPIの完全欠損家系について、その責任遺伝子を同定し(329位thymine欠損によるフレームシフト)、β2GPI-Sapporoとした。β2GPI-Sapporoのアリル頻度は北海道地方の健常人で約3%と比較的高かったが、β2GPI-Sapporoのhomozygoteは血栓の既往はなく、トロンビン生成のマーカーも正常であったので、β2GPI欠損が直接の血栓の原因にはならないことがわかった。
今後さらに多方面的にβ2GPIの機能や性質を明らかにし、抗リン脂質抗体症候群の血栓形成の病態を解明する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 小池隆夫: "Heterogeneous behavior anti-β2-glycoprotein."J.Rheumatol.. 72:2. 391-397 (2000)

  • [文献書誌] 小池隆夫: "Lytic epstein-barr virus infection in the synovial tissue of patients with rheumatoid arthritis."Arthritis.Rheum.. 43:6. 1218-1225 (2000)

  • [文献書誌] 小池隆夫: "Effects of β2glycoprotein I and monoclonal anticardiolipin antibodies on extrinsic fibrinolysis."Seminars in Thrombosis and Hemostasis.. 26:1. 85-90 (2000)

  • [文献書誌] 小池隆夫: "Proteolytic cleavage of β2-glycoprotein I : reduction of antigenicity and the structual relationship."Internal.Immnol.. 12:8. 1183-1192 (2000)

  • [文献書誌] 小池隆夫: "Cardiac valve diseases and antiphospholipid syndrome."Int.med.. 39:6. 446-447 (2000)

  • [文献書誌] 小池隆夫: "Coagulation and fibrinolytic activities in 2siblings with β2-glycoprotein I deficiency."Blood.. 96:4. 1594-1595 (2000)

  • [文献書誌] 小池隆夫: "免疫症患のとらえかた-眼でみるベットサイドの病態生理-"文光堂. 236 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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