抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン抗体及びループスアンチコアグラント)の出現と動静脈血栓症、習慣流産、血小板減少などとの関係が明らかになり、これらの病態は一括して抗リン脂質抗体症候群と呼ばれるようになった。最近になり、抗リン脂質抗体の出現と動脈硬化との関係も注目されてきており、抗リン脂質抗体が血栓症のみならず動脈硬化病変形成のリスクファクターとも考えられるようになった。実際45才未満のSLEには健常対象群と比べて動脈硬化、特に心筋梗塞の頻度が約50倍であることが知られている。 私は、抗リン脂質抗体症候群に認められる抗カルジオリピン抗体がカルジオリピンに直接反応するのではなく、血中のアポ蛋白であるβ2-グリコプロテインI(β2-GPI)がカルジオリピンと結合し、その結果構造変化して出現した新たな抗原エピトープを認識していることを明らかにした。今回の研究の過程で偶然β2-GPI欠損家系を発見した(β2-GPI-Sapporoと命名)。さらにβ2-GPIには遺伝子多型があり、そのことが本症のリスクになる可能性も明らかにすることが出来た。 平成11年度と12年度に抗カルジオリピン抗体と閉塞性血管病変に関する研究と言う主題のもとにに下記の三点につき研究を遂行し成果を得た。 1)血栓形成と動脈硬化のリスクファクターとしての坑カルジオリピン抗体 2)β2-GPI-Sapporoの発見 3)β2-GPIの抗原エピトープと坑リン脂質抗体症候群発症のリスクファクターとしての遺伝子多型
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