研究概要 |
シェーグレン症候群(SS)の口唇唾液腺には、T細胞を中心とした著明な細胞浸潤が認められ自己免疫発症に重要な役割を果している。浸潤T細胞のT細胞レセプター(TCR)解析から、それらが抗原刺激により誘導されていることが判明してきた。本研究では、唾液腺に浸潤したT細胞を認識する対応抗原を明らかにし、アナログペプチドを用いた特異的制御を目的とした。1)TCRトランスフェクタントを用いた抗原解析では、SS患者の口唇唾液腺浸潤T細胞から、TCRBV2陽性T細胞をsingle cell sorting法およびsingle cell PCR法により一つの細胞におけるTCRβ鎖とTCRα鎖の組み合わせを決定した(TCRBV2S1BJ2S5/AV2AJ36)。クローン化したTCRβ鎖とα鎖とを発現ベクターに組み込み、CD3γ,δ,ζ鎖を遺伝子導入したTCR欠損TG40細胞を用いてTCR発現トランスフェクタントの作成を試みている。2)West-Western法により明らかにされた唾液腺特異的自己抗原であるαアミラーゼのT細胞エピトープを明らかにするために、8種類のリコンビナント欠損蛋白(Ex1-1,AA16-56;Ex1-2,AA16-105;Ex1-3,AA16-171;Ex1-4,AA16-248;Ex1-5,AA16-293;Ex1-6,AA16-334;Ex1-7,AA16-367;Ex1-8,AA16-407)を作成した。SS患者末梢血中T細胞を用いて細胞内サイトカインあるいは定量PCR法によりIL-2を指標としてT細胞エピトープを含む蛋白領域を検討した。その結果、82%のSS患者末梢血において全長のアミラーゼリコンビナント蛋白に対するT細胞反応が検出され、そのうち1名においてExon2,Exon5-6に少なくとも2個のアミラーゼのT細胞エピトープがあることが判明した。現在、自己反応性T細胞をアナジーに誘導し不活化するアナログペプチドをin vitroで選別中である。
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