研究概要 |
シェーグレン症候群(SS)の口唇唾液腺には、T細胞を中心とした著明な細胞浸潤が認められ自己免疫発症に重要な役割を果している。浸潤T細胞のT細胞レセプター(TCR)解析から、それらが抗原刺激により誘導されていることが判明してきた。本研究では、唾液腺に浸潤したT細胞を認識する対応抗原を明らかにし、アナログペプチドを用いた特異的制御を目的とした。West-Western法により唾液腺特異的自己抗原であるαアミラーゼがT細胞が認識するエピトープの一つである事が判明している。本研究では、唾液腺型α-アミラーゼの中で共通のT細胞エピトープを解析するために、活性機能のあるドメインAを中心として8種類のリコンビナント欠損蛋白(Ex1-1,AA16-56;Ex1-2,AA16-105;Ex1-3,AA16-171;Ex1-4,AA16-248;Ex1-5,AA16-293;Ex1-6,AA16-334;Ex1-7,AA16-367;Ex1-8,AA16-407)を作成した。SS患者の末梢血リンパ球を用いてそれぞれの蛋白に対する細胞増殖反応を検討したところ、SS-82では、Ex1-2とEx5-6、SS-2ではEx1-2とEx5-8に、SS-4ではEx1-2にT細胞エピトープが存在する事が示唆された。3症例のDRはDRB1^*0405であったため、SS-82のT細胞エピトープは、NPFRPWWERYQPV(AA68-80)とEKMSYLKNWGEG(AA287-298)であり、SS-2では、NPFRPWWERYQPV(AA68-80)とTVIRKWNGE(AA279-287)、EKMSYLKNWGEG(AA287-298)、SILTFWDAR(326-364)、RVMSSYRWPRYFEN(352-365)のうちいずれかであり、SS-4ではNPFRPWWERYQPV(AA68-80)であろうと予想される。以上の結果から、HLA-DRB1^*0405のSSに共通のT細胞エピトープは、NPFRPWWERYQPV(AA68-80)であると考えられた。現在、自己反応性T細胞をアナジーに誘導し不活化するアナログペプチドをin vitroで選別中である。
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