シェーグレン症候群(SS)の発症機序を分子レベルで明らかにし、分子をターゲットとした特異的治療を開発することを目的とした。唾液腺に浸潤した自己反応性T細胞のT細胞受容体(TCR)を遺伝子レベルで解析し、さらに、その対応自己抗原のT細胞エピトープをアミノ酸レベルで解析し、研究成果として報告した。1)SSの唾液腺内浸潤T細胞のTCR CDR3領域をプローブどして、唾液腺由来のcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、唾液腺型αアミラーゼが浸潤自己反応性T細胞が認識する自己抗原の一つであることを明らかにした。2)SSの唾液腺内に浸潤したT細胞のTCR遺伝子を、single cell sorting法とsingle cell PCR法とを組み合わせることにより単細胞レベルで明らかにした。TCRα鎖TCRB鎖をそれぞれ発現ベクターに挿入しTG40細胞に遺伝子導入することにより、TCRを共発現したトランスフェクタントの作成を試みた。3)HLA-DR B1^*0405を有するSS患者において、MACS cytokine secretion assay法を用いて、唾液腺型αアミラーゼのT細胞エピトープを検討したところ、NPFRPWWERYQPV(AA68-80)が共通のT細胞エピトープであることが判明した。現在、自己反応性T細胞をアナジーに陥らせ、自己免疫応答を抗原特異的に制御できるアナログペプチドを選別中である。4)自己免疫応答をネガティブに調節する、TCRAV24^+BV11^+NKT細胞がSSにおいても減少していること、その原因として、(1)抗原が不足していること、(2)NKT細胞自身の機能不全があること、(3)変異CD1d分子が存在すること、を明らかにしてきた。
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