研究課題/領域番号 |
11470128
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80240703)
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研究分担者 |
藤江 肇 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
新谷 良澄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
森屋 恭爾 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (00272550)
堤 武也 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 肝癌 / トランスジェニックマウス / コア蛋白 / C型肝炎 / 脂肪化 / 不飽和脂肪酸 / RXRレセプター |
研究概要 |
肝内の脂肪化は、これまでは炎症の単なる付随現象としてとらえられてきた。しかし、肝における脂肪化が、これまで考えられていたような単なる肝炎や肝癌の付随現象ではなく、肝発癌の本質的な現象として肝細胞癌を直接的に引き起こしている可能性がある。我々は、ヒトC型肝炎患者の肝組織とC型肝炎ウイルス・トランスジェニックマウスという実験系の双方を用いて、C型肝炎肝に蓄積する脂肪の組成、肝脂肪化の成立機序を明らかにし、ついで、その肝炎・肝癌の発生との関りを明らかにしてきている。C型肝炎ウイルス・コア遺伝子トランスジェニックマウス肝に蓄積している脂質をHPLC、ガスクロマトグラフィー、ガスマス分析により分析したところ、C18 : 1、すなわち、不飽和結合を1個もつ中性脂肪が、正常対照マウスや単純肥満マウスに比し、有意に増加していた。さらに、ヒト慢性C型肝炎患者肝に蓄積している脂質を同様に分析したところ、トランスジェニックマウス肝内脂質と同様にC18 : 1中性脂肪であるオレイン酸、バクセン酸が有意に増加していた。コア遺伝子トランスジェニックマウス肝における脂質蓄積の原因の検討によって、肝からのVLDL分泌、ベータ酸化がともに部分的な障害を受け、脂肪化を呈することが判明した。この過程においてミトコンドリアの電子伝達系の部分的障害が起こり、活性酸素の産生、抗酸化システムの活性化を惹起し、肝脂肪化と相まって細胞DNA傷害を引き起こすことが示唆された。また、C型肝炎ウイルス・コア蛋白が核内レセプターRXR-アルファと結合し、細胞遺伝子の転写を修飾していることも明らかにした。
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