研究課題/領域番号 |
11470131
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川野 淳 大阪大学, 医学部, 教授 (60133138)
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研究分担者 |
辻井 正彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40303937)
辻 晋吾 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40301262)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | シクロオキシゲナーゼ / 腫瘍血管新生 / プロスタグランディン / 消化器がん / 化学予防 / がん転移 / アポトーシス / 細胞増殖 |
研究概要 |
本研究では上皮・間質の細胞間相互作用の面から消化器腫瘍の増大、浸潤・転移に寄与する因子とその調節機序を明らかにし、シクロオキシゲナーゼ(COX)が消化器癌抑制の上で重要な標的分子となる機構と生体での応用可能性を検討した。COX-1、COX-2ノックアウトマウスやマウスの移植腫瘍系、ヒト腫瘍組織を用いた解析の結果、 1.MKN45を用いた移植腫瘍系では腫瘍細胞に局在するCOX-2に依存したVEGF、bFGFの発現がみられ、COX-2阻害剤により両因子の発現→腫瘍血管新生→細胞死の誘導を介した腫瘍の進展抑制がみられた。他方HCT116腫瘍では血管内皮がCOX-1に依存して管腔形成を起こすため、COX-1阻害に起因する腫瘍抑制効果がみられた。 2.ヒト癌組織においても8割以上でCOX-2の発現が増強しており、発現の程度がリンパ管浸潤並びにリンパ節転移に関連していた。 3.非腫瘍性上皮細胞においても、TGFαやHGFによりCOX-2の強い発現増強が観察され上皮の形態形成に関与していた。ヒトやラットを対象とする検討では高ガストリン血症や抗潰瘍剤投与、粘膜損傷、H.pylori感染、腸上皮化生に伴いCOX-2の発現が増強した。 4.COX-2ノックアウトマウスに腫瘍を移植してもColon26腫瘍は増大しない。これは主に腫瘍近傍に存在する間質細胞にCOX-2が欠損しているためであり、間質細胞由来の血管新生因子や増殖因子が腫瘍細胞のそれを凌駕するためである事が示された。 COX阻害薬は腫瘍由来のCOX-2のみならずCOX-1依存性の機構や間質細胞を介した多彩な制がん効果が期待できると結論した。
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