研究概要 |
C型慢性肝炎患者の末梢血単核球のHCVコア蛋白,NS3蛋白に対するヘルパーT細胞応答と肝障害,HCV RNA量との関連を検討した.対象はインターフェロン治療を行ったC型慢性肝炎患者20症例で,治療前,治療中,治療終了後の患者末梢血単核球のHCVコア蛋白,NS3蛋白特異的T細胞増殖応答,インターフェロンγ産生T細胞数,インターロイキン4産生T細胞の検討を行った.研究は進行中であり,終了していない.治療前,患者末梢血単核球はHCVコア蛋白の刺激に対して20例中4例で増殖応答を示したのに対して,HCV NS3蛋白刺激に対しては20例中7例で増殖応答を示した.いずれか,あるいは両蛋白に対して増殖応答を示したのは8例であった.一方,末梢血単核球中にHCVコア蛋白あるいはNS3蛋白特異的インターロイキン4産生細胞は全例で認められなかったが,HCVコア蛋白特異的インターフェロンγ産生細胞は20例中8例で認められ,NS3蛋白特異的インターフェロンγ産生細胞は20例中5例で認められた.HCVコア蛋白特異的インターフェロンγ産生T細胞が末梢血単核球に陽性であった症例では血清HCV RNA量が多く,ALT値は高い傾向が認められた.これらの結果は,C型慢性肝炎患者における末梢血単核球のHCVコア蛋白,HCV NS3蛋白に対するT細胞応答はインターフェロンγを産生する1型ヘルパーT細胞応答優位であり,組織障害性に作用していることを示唆している.
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