研究概要 |
C型慢性肝炎患者の末梢血単核球のHCVコア蛋白,NS3蛋白に対するヘルパーT細胞応答,抑制性T細胞応答と肝障害,HCV RNA量,インターフェロン治療効果との関連を検討した.対象は6か月のインターフェロン治療を受け,治療終了後6か月の時点のHCV RNAの検査結果が判明している17例で,HCV RNA陰性例は9例であった.治療前,治療中,治療終了時の患者末梢血単核球のHCVコア蛋白,NS3蛋自特異的T細胞増殖応答,インターフェロンγ産生T細胞数,インターロイキン4産生T細胞,インターロイキン10産生細胞の検討を行った.研究は進行中であり,終了していない.治療前,患者末梢血単核球はHCVコア蛋白の刺激に対して17例中2例で増殖応答を示したのに対して,HCV NS3蛋白刺激に対しては17例中3例で増殖応答を示した.いずれか,あるいは両蛋白に対して増殖応答を示したのは5例であった.一方,末梢血単核球中にHCVコア蛋白あるいはNS3蛋自特異的インターロイキン4産生細胞は1例で認めたのみであったが,HCVコア蛋白特異的インターフェロンγ産生細胞は17例中8例で認められ,NS3蛋白特異的インターフェロンγ産生細胞は17例中6例で認められた.HCVNS3蛋白に対する末梢血単核球の増殖応答が強い症例では肝組織の炎症の活動度が高かった.インターフェロン投与によりHCV RNAの消失の見られなかった症例では,HCV NS3蛋白刺激に反応するインターロイキン10産生細胞が増加する傾向が認められた.
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