研究概要 |
インターフェロン治療前のC型慢性肝炎患者17例で末梢血単核球および肝浸潤単核球のHCV抗原に対するサイトカイン産生細胞応答を検討した.末梢血単核球および肝浸潤単核球をHCVコア抗原およびNS3抗原で刺激し,IFN-γ産生細胞数,IL-4産生細胞数,IL-10産生細胞数をELISPOT法により算定した.これらの結果と肝の炎症,線維化の程度,血清HCV RNA量の関係を検討した.肝浸潤単核球には多数のHCV抗原特異的IFN-γ産生細胞とIL-10産生細胞が存在し,IL-4産生細胞数はそれらと比べ極めて少なかった.肝浸潤単核球のHCV抗原特異的IFN-γ産生細胞数と末梢血単核球中のHCV抗原特異的IFN-γ産生細胞数,肝浸潤単核球のHCV抗原特異的IL-10産生細胞数と末梢血単核球のHCV抗原特異的IL-10産生細胞数の間にはそれぞれ正の相関が認められたが,肝浸潤単核球には,末梢血単核球と比べると濃縮される形でHCV特異的サイトカイン産生細胞が存在した.更に,肝浸潤単核球においては,HCVコア抗原特異的IFN-γ産生細胞の数がIL-10産生細胞数よりも多かった.しかしながら,肝浸潤単核球のHCV抗原特異的な各サイトカイン産生細胞数と肝の炎症,線維化の程度,血清HCV RNA量の関係の間には有意な相関関係は認めなかった.有意な相関が認められなかった理由としては,肝組織におけるHCV抗原特異的サイトカイン産生細胞はお互いに影響を与えながら,複雑に組織障害,ウイルス排除に関与していることが考えられる.
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