研究課題/領域番号 |
11470140
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 茂人 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20150336)
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研究分担者 |
畑 茂樹 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
西部 彰 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
福尾 恵介 大阪大学, 医学系研究科, 講師
清水 真澄 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
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キーワード | 老年者 / 肺炎 / 咳反射関連遺伝子 / アンジオテンシンI変換酵素 / キマーゼ / アンジオテンシノーゲン / 遺伝子多型 / 易発症性 |
研究概要 |
顕性の誤嚥に基づく老年者肺炎の発症の機序として重要である加齢に伴う咳嗽反射機能の低下にのがその発症機序として重要であることから、老年者に多発する非冬季肺炎の易発症性に関する咳嗽関連因子遺伝子多型を用いた遺伝子診断の確立を目的としている。当研究においては、長期療養型老人病院入所中の老年者(1993床)の4月〜11月までの非冬季肺炎例につきコホート研究にて検討を進めており、このとき老年者肺炎の危険因子として知られる寝たきり、痴呆などの生活動作能、基礎疾患(肺炎の既往、脳血管障害、心不全、虚血性心疾患、低栄養状態)などについても交絡因子として同時調査をしている。平成11年度の4月〜10月までに162例の肺炎発症、58例の肺炎による死亡を認めた。これらの老年者肺炎例においては、対照例と比して、臨床的背景として寝たきり、痴呆、肺疾患の既往、低アルブミン血症例が有意に多いが、咳嗽関連遺伝子多型のうちアンジオテンシンI変換酵素のI/D多型は、これら肺炎発症例においてDD型32%、ID型63%、II型5%と、対照例のDD型12%、ID型56%、II型32%と比してKruskal Wallis検定にて有意(P<0.001)にDD型が多くII型が少なく、上記交絡因子補正後もDD型はID型+II型に比し約2.8倍肺炎を発症し易いことを認めている。また降圧薬であるアンジオテンシンI変換酵素阻害薬服用例では特にID型において高率に肺炎が抑制さることを認めている。一方、他の咳関連因子であるアンジオテンシンII受容体1型受容体、キマーゼ、アンジオテンシノーゲンのそれぞれの遺伝子多型に肺炎群および対照群の間に有意差を認めなかった。このことから、アンジオテンシンI変換酵素遺伝子多型が老年者における肺炎の易発症性に関する遺伝子危険因子の一つになりうると考えられる。
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