研究課題/領域番号 |
11470148
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
瀧山 嘉久 自治医科大学, 医学部, 講師 (00245052)
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研究分担者 |
西澤 正豊 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (80198457)
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キーワード | レーザーマイクロダイセクション / CAGリピート / mitotic instability / meiotic instability |
研究概要 |
CAGリピート病の病態を解明する上で極めて重要な課題である、「リピートが不安定化する分子機構」を解明するためにmeiotic instabilityとmitotic instabilityについて今年度研究を行った。まず、meiotic instabilityに関しては、当初DRPLA、Huntington病(HD)の剖検例の精巣について、Laser capture microdisection(LCM)を用いて生殖細胞系の各分化段階の単一細胞のCAGリピート数の解析を行っていたが、解析に充分な数が確保できなかった。そこで現在、HDのexon1のreplacement mouse(藤田保健衛生大学の石黒ら)について、ホモマウスとヘテロマウスの生殖細胞系のどの分化段階でリピートの不安定性が生じるのか?、その程度に差があるのか?、さらにリピートの不安定性にagingの影響があるのか?などをLCMを用いて単一細胞レベルで検討中である。ヒトにおけるmeiotic instabilityの例として、SCA6の親子で正常リピート数(16あるいは19リピート)が異常リピート数(20リピート)に増大した症例を見いだした。現在、16と19のどちらのalleleが増大したのかを検討中である。この例は、CAGリピート病のなかでも安定していると考えられていたSCA6において、比較的長い正常リピートは病的範囲に増大しうることを示しており、不安定性に関与するcisやtransのfactorについて検討を進めている。次にmitotic instabilityに関しては、MJD患者の小脳3例について、LCMを用いて皮質(分子層、Purkinnje細胞層、顆粒層)、白質、脊髄前角の細胞群のCAGリピート数の解析を行った。その結果、Purkinnje細胞層は他に比し、0.1-0.9リピート短いことが初めて判明した。これまで小脳皮質は白質に比べて、リピート数が短いことが報告されていたが、これはpurkinnje細胞層の影響であろうと考えられた。さらに、MJD・DRPLA・HD患者の貴重な臍帯が入手できたので、生下時のリピート数と20-40年後の末梢血由来DNAのリピート数を比較解析した。その結果、時間経過におけるmitotic instabilityの可能性が考えられ、現在さらに検討を加えている。
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