研究分担者 |
武田 英孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70245489)
柴田 護 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60286466)
伊藤 義彰 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90265786)
鈴木 重明 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50276242)
傳法 倫久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50306700)
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研究概要 |
(1)細胞内redox stateはエネルギー産生の準備状態を示す。代表的なredox indicator色素である3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide(MTT)還元反応の基質特異性(すなわちエネルギー産生の基質特異性)をラット培養type-1アストロサイト(以下A)とニューロン(以下N)において比較検討し報告した(Takahashi et al., Neurochemistry International40:441-448,2002)。グルコースによるMTT還元(タンパク量あたりで標準化補正)は、Aにおいて有意にNより高く、グルコースをエネルギー産生の基質として考えた際に、Aがより効率的に使用できる可能性が示された。またMTT還元は、ミトコンドリア機能に依存したredox stateの指標であるのみならず、細胞質における解糖系の寄与が大きいことが明らかとなった。これらは脳内のグルコース利用についてはAが優位であり、Nはむしろ解糖系末端の中間代謝物質(乳酸/ピルビン酸)をTCA回路において利用している可能性を示した。 (2)MTT還元反応が細胞内エネルギー代謝の一般的指標となるか否かの確認の為、さらに新奇蛍光redox indicatorであるAlamar Blueを用いて同様の検討をした(Abe et al., Soc Neurosci Abstr 526.7,2001)。Alamar BlueはMTT以上に鋭敏に細胞内redox stateを捉えることが可能となり、Aでは細胞内グリコーゲンの蓄積量が大きな影響を有することが判明した。すなわちグリコーゲンの有無によって、エネルギー産生の主体が、解糖系/TCA回路の間でダイナミックに変化することを突き止めた。この事はAのエネルギー産生能力の柔軟性を物語るものであり、虚血性のエネルギー代謝破綻時にもAが耐性を有することの側面を示すものと考えられた。虚血時(脳梗塞)のグリア細胞の耐性機構の解明と、神経細胞保護治療に寄与する知見と考えられた。
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