研究概要 |
平成14年度に得られた研究の進展は以下のとおりである; (1)細胞内redox stateはエネルギー産生の準備状態を示す。新奇の蛍光redox indicator色素であるAlamar-Blueを用い、従来より用いてきた3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide(MTT)還元反応以上に鋭敏に細胞内redox stateを捉えることが可能となった(Abe et al.,Neurosci Lett 326:179-182,2002)。本年はラット培養type-1アストロサイト(以下A)の細胞内グリコーゲンの増減と細胞内エネルギー産生経路の変化をより詳細に検討した。 (2)無グルコース条件で短時間培養(1、24時間)することによって、細胞障害を来たすことなくAのグリコーゲン量は有意に減少し、これに伴いピルビン酸、乳酸によるAlamar Blue還元反応は亢進した。 (3)培地のグルコース濃度を変化(2、22mM)させ長期培養(2-3週間)することで、Aのグリコーゲン貯蔵量を変化させうるが、貯蔵量の増加に伴い、ピルビン酸、乳酸によるAlamar Blue還元反応は減弱した。 (4)即ちAにおける細胞内エネルギー産生経路はグリコーゲン量と連動して解糖系/TCA回路の間でダイナミックに変化することが明らかになった(安部他、脳卒中25:159、2003)。
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