2001 年度実績報告書

血管病変におけるエストロゲン受容体α,βの発現特異性の解明と治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号	11470157
研究機関	東京大学
研究代表者	大内尉義東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80168864)
研究分担者	神崎恒一東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80272540) 井上聡東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40251251) 吉栖正生東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20282626) 飯島勝矢東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00334384)
キーワード	エストロゲン受容体 / 血管平滑筋細胞 / アデノウイルスベクター / DNA chip
研究概要	本研究の目的は、エストロゲン受容体(ER)サブタイプの観点からエストロゲンの動脈硬化抑制作用を解明し、動脈硬化の新しい治療法開発へ応用することである。今年度は、これまでのプロジェクト全体の基礎検討より得られた知見に基づき、血管病変の発症進展におけるERαとERβの意義を検討し、最終的にいくつかの結果が得られた。1)エストロゲンの血管平滑筋細胞に対する増殖抑制作用におけるERの関与:ERα、ERβおよびドミナントネガティブ変異型ERβを組み込んだアデノウイルスベクターを昨年度作製し、それらをラット血管平滑筋細胞に感染させ、エストロゲンの細胞増殖抑制作用においていずれのERが重要であるかを検討した。アデノウイルスベクターによるERの血管平滑筋細胞への発現はmRNAおよび蛋白レベルにおいて効率よく過剰に発現していることを確認した。ERβを過剰発現させるとERαと比較して増殖抑制効果が著明であることから、エストロゲンの主にERβを介して作用することが明らかになった。2)大動脈でのエストロゲンの遺伝子発現制御におけるERの関与:われわれはERα,ERβともに大動脈での発現を確認し、動脈硬化モデルの傷害血管におけるそれらサブタイプの発現についても検討を加えてきた。次にそれらERを介したエストロゲンにより制御を受けている遺伝子をスクリーニングするために、卵巣摘除したラットと卵巣摘除後エストロゲン補充したラットからそれぞれRNAを抽出し、DNA chipを利用して検討した。その結果、stearyl-CoA desaturase, PAI-1, osteoprotegerinなどの遺伝子発現がエストロゲンにより規定されていることを明らかにした(未発表データ)。今後これらの遺伝子発現の制御が主にいずれのERサブタイプを介しているか検討していく予定である。

研究成果

(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] Hashimoto M, Ouchi Y(他6名): "Effects of long-term and reduced-dose hormone replacement therapy on endothelial function and intima-media thickness in postmenopausal women"Menopause. 9(1). 58-64 (2002)
[文献書誌] Watanabe T, Ouchi Y(他14名): "Induction of nuclear orphan receptor NGFI-B gene and apoptosis in rat vascular smooth muscle cells treated with pyrrolidinedithiocarbamate"Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 21(11). 1738-1744 (2001)
[文献書誌] Hashimoto M, Ouchi Y(他10名): "Effect of acute intake of red wine on flow-mediated vasodilatation of the brachial artery"Am J Cardiol. 88(12). 1457-1460 (2001)
[文献書誌] Sudoh N, Ouchi Y(他12名): "Estrogen prevents oxidative stress-induced endothelial cell apoptosis in rats"Circulation. 103(5). 724-729 (2001)
[文献書誌] 梁一強, 大内尉義(他9名): "Inhibitory effect of estrogen on body weight gain via central estrogen receptor-β in ovariectomized rats"Jpn Circ J. 65(suppl). 513 (2001)
[文献書誌] 小川純人, 井上聡, 大内尉義: "エストロゲン受容体α、β双方のシグナル系を抑制する変異体を発現させた、エストロゲン低応答型トランスジェニックラットを用いた骨、血管作用の解析"日老医誌. 38(Suppl). 136 (2001)
[文献書誌] 大内尉義編: "高齢女性の健康増進のためのホルモン補充療法ガイドライン"メディカルレビュー社・東京. 308 (2001)

2001 年度 実績報告書

血管病変におけるエストロゲン受容体α,βの発現特異性の解明と治療への応用

研究代表者

大内 尉義 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80168864)

研究成果

[文献書誌] Hashimoto M, Ouchi Y(他6名): "Effects of long-term and reduced-dose hormone replacement therapy on endothelial function and intima-media thickness in postmenopausal women"Menopause. 9(1). 58-64 (2002)

[文献書誌] Watanabe T, Ouchi Y(他14名): "Induction of nuclear orphan receptor NGFI-B gene and apoptosis in rat vascular smooth muscle cells treated with pyrrolidinedithiocarbamate"Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 21(11). 1738-1744 (2001)

[文献書誌] Hashimoto M, Ouchi Y(他10名): "Effect of acute intake of red wine on flow-mediated vasodilatation of the brachial artery"Am J Cardiol. 88(12). 1457-1460 (2001)

[文献書誌] Sudoh N, Ouchi Y(他12名): "Estrogen prevents oxidative stress-induced endothelial cell apoptosis in rats"Circulation. 103(5). 724-729 (2001)

[文献書誌] 梁一強, 大内尉義(他9名): "Inhibitory effect of estrogen on body weight gain via central estrogen receptor-β in ovariectomized rats"Jpn Circ J. 65(suppl). 513 (2001)

[文献書誌] 大内尉義 編: "高齢女性の健康増進のためのホルモン補充療法ガイドライン"メディカルレビュー社・東京. 308 (2001)

2001 年度実績報告書

大内尉義東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80168864)

[文献書誌] 大内尉義編: "高齢女性の健康増進のためのホルモン補充療法ガイドライン"メディカルレビュー社・東京. 308 (2001)