研究課題/領域番号 |
11470160
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
藤原 久義 岐阜大学, 医学部, 教授 (80115930)
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研究分担者 |
竹村 元三 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (40283311)
岡野 幸雄 岐阜大学, 医学部, 教授 (10177066)
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キーワード | ラット頚動脈 / バルーン障害モデル / bax mRNA / 遺伝子治療 / アポトーシス / 増殖能 |
研究概要 |
本年度(平成12年度)はラット頚動脈バルーン障害内膜増殖モデルを作成し、bax遺伝子導入を行い、intimal hyperplasiaの予防が可能かを検討した。遺伝子導入はアデノウィルスベクターを用いて行い、バルーン障害後、1日、5日、14日、30日で屠殺し、ノーザンブロッティング法およびウエスターンブロッティング法により、bax mRNAおよびBax蛋白の経時的発現量を検討した。バルーン障害頚動脈組織標本を対象に内膜肥厚の程度はelastic van Gieson染色、抗アクチン抗体、抗マクロファージ抗体による免疫染色を行い、イメージアナライザーで検討した。アポトーシスはTUNEL法にて、増殖はPCNAにて検討した。その結果、以下のことが明らかになった。1)遺伝子導入しなかったコントロールと比較し、bax遺伝子の導入群ではバルーン障害頚動脈組織にbax mRNAおよびBax蛋白の発現増強がみられた。2)遺伝子導入しなかったコントロールと比較し、遺伝子の導入群ではintimal hyperplasia組織平滑筋細胞におけるTUNEL陽性細胞は増大したが、PCNA陽性細胞には変化がなかった。3)遺伝子導入しなかったコントロールと比較し、遺伝子の導入群でのintimal hyperplasiaの程度は改善傾向がみられたが、有意の所見は得られなかった。以上よりラット頚動脈バルーン障害に対するbax遺伝子の導入はintimal hyperplasia組織平滑筋細胞のアポトーシスを促進する。しかし、バルーン障害後の再狭窄予防効果があるか否かについては明瞭な結論が得られなかった。これは我々の用いた遺伝子導入の方法ではBaxの発現とアポトーシス誘導の程度がいまだ不十分であったためと考えられる。したがって再狭窄予防のためには今後、新しいより強力なベクターを開発し、より一層のbax遺伝子導入の効率化をはかり、アポトーシス細胞をさらに増大する必要があると思われる.
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