研究課題/領域番号 |
11470162
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
葛谷 恒彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (80150340)
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研究分担者 |
西田 昌司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40283783)
増山 理 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70273670)
佐藤 秀幸 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70167435)
山下 宣繁 大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
大津 欣也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20294051)
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キーワード | Mn-SOD / 運動療法 / 虚血耐性 / プレコンディショニング |
研究概要 |
心疾患に対する運動療法の効果は、虚血性心疾患のみならず心不全の運動能、心機能改善に対する有効性も示唆されつつあるが、主として疫学的有用性や危険因子除去による二次的有用性から検討されており、運動の心筋保護作用に関する検証的研究は未だなされていない。本申請研究においては、運動負荷、温熱負荷がいかなる情報伝達系を介して負荷現象の「記憶」を耐性獲得に結び付けるかを細胞レベルで検討するとともに、in vivoにおいて、簡便に、繰り返し、長期間にわたり運動・温熱の効果を評価する方法の確立を目的とした。初年度においては、従来の申請者らの温熱負荷による実験結果に基づき、運動負荷時の虚血耐性獲得とミトコンドリアの抗酸化酵素Mn-SOD誘導の時間経過を検討した。ラットのトレッドミル運動負荷により、負荷直後、および、負荷48時間後の二相性のパターンで冠動脈結紮-再潅流による心筋梗塞作製に対する耐性が惹起された。運動負荷後の心筋組織におけるMn-SOD活性、Mn-SOD蛋白質量を測定すると、活性は虚血耐性と同様に負荷直後、48時間後の二相性の亢進を示すとともに、蛋白質量も負荷48時間後をピークに増大した。Mn-SODに対するアンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチドを投与すると、運動負荷48時間後のMn-SOD誘導が抑制されるとともに、同時期における運動負荷による虚血耐性も消失した。これらの結果は、運動負荷は心臓に対して抗酸化酵素Mn-SODの誘導、活性化を介して直接的に虚血耐性を惹起すること、また、虚血耐性は運動負荷直後に認められるMn-SOD活性の亢進による早期の耐性と、運動負荷48時間後に認められるMn-SOD誘導による晩期の耐性の二種類が存在することが明らかとなった。現在、運動負荷がMn-SODの誘導、活性化をもたらす分子機構を検討している。
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