研究課題/領域番号 |
11470162
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
葛谷 恒彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (80150340)
|
研究分担者 |
西田 昌司 神戸女学院大学, 人間科学部人間科学科, 教授 (40283783)
増山 理 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70273670)
佐藤 秀幸 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70167435)
大津 欣也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20294051)
|
キーワード | Mn-SOD / TNF-α / IL-1β / 虚血-再灌流 / 活性酸素 / 運動負荷 / 心筋保護療法 |
研究概要 |
従来、心筋の虚血-再灌流時に産生される活性酸素は過酸化反応による心筋障害をもたらすことから、対症的な心筋保護として活性酸素消去が試みられた。本研究は、活性酸素を運動負荷による内因性防御系のストレス応答をもたらす情報伝達系として検討する事に特徴があり、その成果はストレス応答を利用した内因性防御能亢進による積極的な心筋保護療法開発の基盤となる。また、虚血性心疾患の一次、二次予防における運動療法の役割に新たな論拠を与えるとともに、広く他臓器における成人病予防の基礎確立に応用可能である。研究目標として以下の研究を行った。 (1)心筋保護因子としてのマンガン-スーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)の誘導、活性化の機構の検討: 成熟ラットに運動負荷を加えた後、心筋組織におけるスーパーオキシド、過酸化水素の産生をdichrolofluorescein(DCF)による蛍光反応にて測定した結果、これらの産制の増加を確認した。(2)TNF-α,IL-1βの発現誘導の経時的変化をmRNAレベル(ノザンブロット法)、蛋白質量レベル(ELISA法)で検討した結果、これら因子の誘導を確認した。(3)運動負荷、サイトカイン(TNF-α,IL-1β)負荷及び過酸化水素負荷によるMn-SOD発現の経時的変化をmRNAレベル、蛋白質量レベル、酵素活性レベル(NBT法)で定量したけっか、有意に増加することを確認した。 (2)冠・末梢血管細胞における血管拡張・収縮因子の発現状態: 培養血管平滑筋細胞において虚血負荷を行い同様の検討を行った結果、マンガン-スーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)の誘導、活性化の誘導を確認した。さらにマンガン-スーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)cDNAを細胞に過剰発現した細胞において虚血負荷による細胞死が抑制できることも確認した。 以上の結果より運動負荷、温熱負荷による心筋保護効果は種々の体液性因子を介するマンガン-スーパーオキシドジスムターゼの誘導により惹起されることが確認できた。
|