研究課題/領域番号 |
11470164
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江頭 健輔 九州大学, 医学部, 講師 (60260379)
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研究分担者 |
市来 俊弘 九州大学, 医学部, 助手 (80311843)
内海 英雄 九州大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (20101694)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70108710)
中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80291508)
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キーワード | 一酸化窒素 / ケモカイン / アンジオテンシンII / 動脈硬化 / アポE欠損マウス / 炎症 / 血管内皮 |
研究概要 |
我々は昨年度、血管内皮NO産生を抑制すると7日以内に血管壁の炎症性増殖性変化{単球の浸潤、monocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)産生、myofibroblast出現、など}、増殖性変化(PCNA陽性細胞の増加)が生じ、28日以降には血管壁再構築(血管壁肥厚、線維化)が生じることを報告した。今年度は、このNO産生抑制ラットモデルにおける血管壁再構築の分子機序を解析した。 1.局所アンジオテンシン系の活性化とその重要性 局所ACE活性は上記炎症性変化や酸化ストレスの増加とほぼパラレルに増加した。血清ACE活性は全く変化しなかった。局所アンジオテンシン系の重要性を明らかにするためにangIIAT1受容体拮抗薬の効果を検討した。上記炎症性増殖性変化、MCP-1発現、NF-kB活性化などはすべてangIIAT1受容体拮抗薬によって抑制された。この成績から、局所angII系の活性化が内皮NO産生抑制による血管壁再構築に中心的役割を果たすことが明らかとなった。 2.NF-κBならびにMCP-1の重要性 「decoy strategy」を用いてNF-kBの機能をブロックすると上記炎症性増殖性変化とMCP-1発現増加が抑制された。また、MCP-1中和抗体によって炎症性増殖性変化が抑制できた。さらに、レシチン化superoxide dismutase投与によって上記炎症性変化が一部抑制された。したがって、局所angII 酸化ストレスNF-kB MCP-1発現増加が内皮NO産生抑制による血管再構築の分子機構の中心経路である。 総括:生理的条件下で常時産生されている内皮NOは局所angII系を抑制ことよって血管壁の病的再構築を少なくすることが明らかとなった。内皮NOの抗動脈硬化作用はこの機構によってもたらされている可能性がある。NO産生抑制によって局所angII活性が増加する機序は不明であり来年度の研究課題である。内皮NO活性を保つことが高血圧症や虚血性心疾患の治療法として有用と考えられる。
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