遺伝子操作動物を用いたアンジオテンシン2型受容体の内皮依存性血圧調節機構の解析

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11470166
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 関西医科大学
• 研究代表者: 松原 弘明 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10239072)
• キーワード: アンジオテンシンII / アンジオテンシン受容体 / ブラジキニン / NO

研究概要

アンジオテンシンII(AngII)は1型受容体(AT1)を介し血圧調節を行う生体内で最も重要な昇圧系である。AngII2型受容体(AT2)のAT2心血管作用に関しては不明点が多いが、AT2の循環調節作用が示唆されている。この点を解明するために、私達は血管平滑筋特異的AT2過剰発現トランスジェニックマウス(SM-AT2-Tg)を作製し、AT2は内皮依存性にNO/cGMP系を活性化し血管拡張作用を示すことを見いだした。このAT2によるシグナル伝達機構を解明するために、SM-AT2-Tg由来血管平滑筋細胞を調製して検討したところ下記の所見が得られた。
1)AT2は細胞内pHを上昇させカリクレイン様酵素を活性化しブラジキニンを分泌させる。一方AT1は細胞内pHを低下させカリクレイン様酵素活性を抑制した。
2)分泌されたブラジキニンは内皮細胞に存在する受容体を介してNO合成酵素を活性化しNOを産生させ、血管平滑筋細胞においてcGMP量増加を介して血管拡張効果を発揮する。3)活性化されるカリクレイン様酵素はアプロチニン感受性であった。4)血管平滑筋細胞におけるERK活性はAT1で亢進したが、AT2はERK活性を抑制した。

研究成果

• [文献書誌] Tsutsumi Y,Matsubara H 他9人: "Angiotensin II type2 receptor overexpression activates・・・"J Clin Invest. 104. 925-935 (1999)
• [文献書誌] Moriguchi Y,Matsubara H 他10人: "Angiotensin II-Induced Transactivation of EGF Receptor"Circ Res. 84. 1073-1084 (1999)
• [文献書誌] Maruyama K,Mori Y,Matsubara H 他9人: "Interleukin-1B Upregulates Cardiac Expression of・・・"J.Mol Cell Cardiol. 31. 607-617 (1999)
• [文献書誌] Matsubra H: "Pathophysiological roles of angiotensin II type 2・・・"Circ. Res. 83. 1182-1191 (1998)
• [文献書誌] Tsutsumi Y,Matsubara H 他12人: "Angiotensin II type Receptor Is Up-Regulated in・・・"Circ. Res. 83・10. 1035-1046 (1998)
• [文献書誌] Murasawa S,Matsubara H 他10人: "Role of calcium-sensitive tyrosine kinase Pyk2/CA Kss/・・・"Hypertension. 32・4. 668-675 (1998)
• [文献書誌] Matsubara H 他12人: "Tissue-specific expression of human angiotensin II AT1・・・"Nephror. 80・1. 25-30 (1998)
• [文献書誌] Murasawa S,Matsubara H 他12人: "Angiotensin II type 1 receptor-induced extracellular・・・"Circ Res. 82. 1338-1348 (1998)