(1)小児アトピー性皮膚炎患者の角質層において、セラミド合成が低下しているかどうかを確認するために、まず、皮膚バリア障害の指標である経皮水分喪失量を検討した。具体的には、経皮水分喪失量(TEWL)を水分蒸散測定装置を用いて測定した。その結果、ほぼ正常皮膚を持つと思われるアトピー性皮膚炎のない気管支喘息の幼児、学童では、TEWLは、低値を示し、一方、アトピー性皮膚炎を持つ患児の皮膚では、全例で高値を示した。これは、湿疹病変が存在しない部位においても高値を示したことより、炎症による二次的な変化よりは、アトピー性皮膚炎では皮膚バリア障害が、非炎症部においても存在することを示唆している。 (2)上記患者から、血清を採取し、総lgE値、卵白、牛乳、大豆、小麦、ダニ、ハウスダストなどの特異lgEを測定し、皮膚バリア障害(TEWLの数値)の程度と比較検討する予定である。 (3)上記患者の未梢血よりDNAを抽出し、アトピー性皮膚炎において、セラミド合成酵素をコードする遺伝子自体の変異あるいはセラミド合成酵素のプロモーター領域におけるDNA上に変異がないかどうかを検討するために、セラミド合成酵素およびそのプロモーター領域に対するプライマーを設定してPCRを行い、SSCP法を用いて、遺伝子変異あるいは多型性を検討し、直接塩基配列決定法にて解析する予定であるが、現在、PCRならびにSSCPの条件を設定しているところである。
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