研究課題/領域番号 |
11470168
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
森川 昭廣 群馬大学, 医学部, 教授 (40125878)
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研究分担者 |
荒川 浩一 群馬大学, 医学部, 助手 (50272232)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / 皮膚バリア障害 / 経皮水分喪失 / セラミド / スフインゴミエリナーゼ / マイクロサテライト / 遺伝子多型 / アトピー候補遺伝子 |
研究概要 |
1.群馬県立がんセンター小児科を受診した0〜23歳までの男女計104名、アトピー性皮膚炎(AD群)78名、気管支喘息(BA群)19名、対照群7名。平均年齢5.7±5.1。気温26℃、湿度40%の条件下で、皮膚バリア障害の指標である経皮水分喪失(TEWL)を水分蒸散測定装置を用いて測定した。また、静脈採血より血清IgE値および末梢血好酸球数を測定した。その結果、TEWLは、AD群で平均30.8±17.1、BA群で15.4±3.0、対照群で16.1±2.2であり、AD群で有意に上昇していた(p<0.001、p<0.05)。TEWLとIgE値、好酸球数との相関係数は、それぞれ0.327、0.251であり、相関は見られなかった。以上より、アトピー性皮膚炎における皮膚バリア障害は、アレルギー素因とは独立した因子である可能性が示唆された。 2.次に、上記患者の末梢血よりDNAを抽出し、角質層セラミド合成酵素の一つであるスフィンゴミエリナーゼをコードする遺伝子に対するプライマーを設定してPCRを行い、アトピー性皮膚炎を含む5名において直接塩基配列決定法にて多型解析を行った。その結果、エクソン1に存在する6塩基のマイクロサテライトに6種類の配列数の異なった多型(A5〜A11)が認められた。A7のホモ接合体の頻度は、アトピー性皮膚炎群において有意に高かった。一方、この多型とIL-4R(Q576R)遺伝子多型やSTAT6遺伝子のエクソン1に存在するGT繰返し配列との関連を検討したが、相関は認められなかった。以上より、スフィンゴミエリナーゼ遺伝子多型は、アトピー候補遺伝子と関連はなく、遺伝子レベルにおいても独立していると考えられた。今後、この多型とTEWLとの関連や、この多型の機能解析について検討する予定である。
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