研究概要 |
本年度はヒトRAGの全ゲノム構造を解析することとヒトRAG2プロモーターの解析を行なうことを目的として研究を行ない、以下のことを明らかにした。 1.ヒトRAG-1の第1,第2エクソンを含むゲノムクローン(HRAG-9)のDNA断片とRAG-2のDNA断片をプローブとして、ヒト胎盤ゲノムライブラリーから、RAG-2の第1,第2エクソンを含む2つの陽性クローン、HRAG3-1,HRAG4-1を単離し、制限酵素地図を作成した。制限酵素地図と5'RACEの結果から、ヒトRAG-2の染色体遺伝子構造を明らかにした。また、RAG-1とRAG-2は約12kbの距離をおいて転写方向が逆であることも明らかとなった。 2.RAG2プロモーターの-700までの塩基配列をRAG-1プロモーターと比較すると、RAG-2プロモーターの-250〜-350間にAP1,OctBなどの転写因子結合部位が存在したが、RAG-1プロモーターに見られたCCAAT部位やIkarosなどの転写因子結合部位は見つからなかった。 3.さらに詳細にRAG-2プロモーター活性の調節領域を決定するために、-1.8kbおよびそれぞれその下流を欠失したDNA断片を、ルシフェラーゼ遺伝子の上流に挿入したベクターを構築し、これらをRAG-2発現型細胞株(Nalm-6)に導入し、プロモーター活性を測定した。その結果、-107までの欠失DNAではプロモーター活性は同等であったが、-63まで欠失すると活性は激減した。この結果は、-107から-63の部位にプロモーター調節領域があることを示す。RAG-1プロモーターの場合、この個所にCCAA(CAT)領域が存在したが、RAG-2のこの領域にはそれに相当する配列は存在しないことが明らかになった。現在、この領域に結合するDNA結合蛋白について検討中である。
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