研究概要 |
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)では筋膜でジストロフィン(dy)が欠損しているが、筋壊死のメカニズム及びdyの生理作用は不明である。我々はDMDで筋壊死が起こるメカニズムにはnNOSの関与などによる血管平滑筋の機能障害に伴う異常と血液凝固系の亢進が関与していると考えるに至っている。 そこで、mdxマウス(ジストロフィン欠損マウス)の血管平滑筋のみにdyを発現させたトランスジェニックマウス(Tg)作製し、血管病変に由来する筋壊死の有無を検討すればdyの生理機能についての大きな情報が得られるのではないかと考えた。そのmdx・Tgが3ライン得られた。そのマウスに於いて、肺での血管平滑筋をdyの発現を確認した。現在、mdxとmdx・Tgに於いて切片を作製し壊死再生などの程度を比較検討中である。今後、血流の異常やCKの比較検討する。 血管平滑筋へdyを導入する事を目的として、血管平滑筋特異的プロモーターとCARの発現が低い血管平滑筋などで遺伝子導入効率を上昇させるRGDを含むアデノウイルスベクターを組み合わせたアデノウイルスベクターを開発し、血管平滑筋特異的な導入・発現効率をin vitro, in vivoで確認した。 また、エコトロピック・レトロウイルスのレセプター(EcoRec)を発現させることのできるアデノウイルス(Ad)をまず感染させ、その後、lacZ遺伝子を発現させるレトロウイルスを感染させることにより、今まで、感染が難しいヒトの筋細胞に感染させることが可能となった。 ヒト線維芽細胞をマイオチューブに分化させ、その細胞をウエスタンブロット法やジストロフィン染色によりジストロフィンの発現を解析することで、ジストロフィーの診断をする方法を開発した。
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