研究概要 |
1.日本人小児発症1型糖尿病の多様性とHLA抗原遺伝子の解析及びNeuroD/BETA2遺伝子多型 1型糖尿病の発症感受性遺伝子の検討で,昨年まで行ったHLA抗原遺伝子、CTLA-4遺伝子に次いでNeuroD/BETA2遺伝子の検討を行った。この遺伝子はインスリン遺伝子の転写因子であり、膵臓β細胞の発現に重要な役割を果たしている。NeuroD/BETA2遺伝子は2番染色体長腕(2p32)にコードされる。この場所はIDDM7遺伝子座と近接している。NeuroD/BETA2遺伝子にはG-A多型が存在し、45番アミノ酸がalanineがthreonineに置換する。この多型と小児発症1型糖尿病の関連、特に低年齢発症例についての意義を検討した。 対象及び方法:小児期発症IDDM患者を急性発症IDDM(A)(n=126)と、緩徐発症IDDH(S)(n=37)に分類し、IDDM(A)のうち発症年令が5歳未満をIDDM(E)(n=44)、正常対照(n=101)とした。方法は多型部分を含む343bpをPCRにて増幅し、direct sequencingにより多型の解析を行った。 結果:1)NeuroD/BETA2遺伝子多型は対照群がA/A2.0%,A/G16.8%,G/G81.2%に比べてIDDM(A)ではA/A3.2%,A/G17.5%,G/G79.3。IDDM(E)ではA/A0%,A/G11.4%,G/G88.6%。IDDM(S)ではA/A5.3%,A/G13.5%,G/G83.7%であり、有意な差は認められなかった。2)HLA class II抗原遺伝子とNeuroD/BETA2遺伝子多型の組み合わせと糖尿病の関係をOdd's ratio(OR)にて比較した結果、有意な関係は認められなかった。以上のことから従来の報告されている結果と異なるものであった。特に、患児におけるA/G多型の割合は変わらなかったが、正常対照の割合が他の報告の2倍くらい有り、これが有意さを無くす要員と考えられた。 2.日本人小児発症1型糖尿病の多様性とHLA抗原遺伝子の解析及びCD30,CD30Ligand遺伝子多型 Th1サイトカイン、自己反応性T細胞作用を抑制するCD30,CD30Ligannd(CD30L)遺伝子多型について検討し、3箇所の遺伝子多型を同定した。この内CD30L遺伝子プロモータ領域の(CA)繰り返し配列数多型に差を認めた。
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