研究課題/領域番号 |
11470189
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 修 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50302716)
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研究分担者 |
林 直人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10261992)
南 学 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (10174096)
大友 邦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80126010)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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キーワード | 磁気共鳴画像 / 脳血流量 / 動脈血スピンラベリング / 脳虚血 / ラット / 潅流画像 |
研究概要 |
本研究では、脳内に流入する動脈血液中のプロトンに、頚部において磁気的なしるし付けをして、そのしるし付けによる脳内の信号変化から血流量を求める手法(arterial spin labeling : ASL)の中でも、信号雑音比の良好な連続波(continuous-ASL)を利用し、さらに頸部のtransmitter coilと頭部のdetection coilの2つのコイルシステムを用いることにより、磁化移動効果(magnetization transfer effect)による信号低下を排除した、定量的脳血流画像に関して検討した。健常ラットにおける実験において撮像前および撮像中に得られたMABP=123±15mmHg(平均±標準偏差、以下同様)、Paco2=35.6±5.47mmHg、Po2=131±10mmHgと撮影前後でほぼ正常値に保たれており、その場合のT1値は1.69±0.27s、局所脳血流値は168±30ml/100g/minであった。一方半球梗塞ラットにおける実験では全例においてTTC染色により半球梗塞の存在が確認された。撮像前および撮像中に得られたMABP=141±19mmHg(平均±標準偏差、以下同様)、Paco2=32.8±7.22mmHg、Po2=142+14mmHgと撮影前後でほぼ正常値に保たれており、非梗塞半球におけるT1値は1.76±0.31s、局所脳血流値は151±38ml/100g/minとほぼ正常データと同様であったが、梗塞半球中心部におけるT1値は2.11±0.36s、局所脳血流は44±39ml/100g/minと正常および対側半球データと比較して前者は延長、後者は著減していたがこのデータは他の報告値と比べてほぼ同等と考えられた。MRIを用いた脳血流量の定量化は現在臨床段階では実用化されておらず、動物実験レベルにおいても試用段階にある。さらにラット半球梗塞モデルにおいて脳血流量を定量化した報告は数少ない。今後は今回開発した脳血流定量及び、われわれが今まで研究を重ねてきた脳内自由水の拡散量(と組み合わせることにより、脳虚血性疾患診断のキーポイントである、梗塞及びpenumbraの診断を非侵襲的に可能にする期待がもたれ、臨床医療における脳虚血性疾患の診断・治療に大きなインパクトを与えることが期待される。
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