アポトーシス関連分子による放射線増感作用の研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11470194
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 札幌医科大学
• 研究代表者: 晴山 雅人 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10173098)
• 研究分担者: 坂田 耕一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10235153) ; 今井 浩三 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60117603) ; 安達 正晃 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70240926)
• キーワード: ウイルスベクター / 放射線誘発アポトーシス / Caspase8

研究概要

1.遺伝子導入ウイルスベクターの作製
BAD遺伝子導入ワクシニアウイルスを作製したが、ウイルス自体による細胞毒性が強く、現段階ではBADの放射線誘発アポトーシスに与える影響を評価するのは困難であることが判明した。一方、我々は下記のごとく、Caspase8が放射線誘発アポトーシスに関与することを見出した。そこで、Caspase8遺伝子導入アデノウイルスベクターを濱田教授(札幌医大)との共同研究で作製した。このベクターは上皮性細胞に高効率に感染することから、放射線誘発アポトーシスに感受性の低い細胞にCaspase8高発現することが可能となった。現在、このウイルスベクターを用いて放射線感受性を高めるか否かを検討中である。
2.放射線照射後のアポトーシス関連蛋白の挙動について
放射線誘発アポトーシスの過程におけるCaspaseファミリーの活性化を観察した。その結果、Fas誘発アポトーシスの過程に関与することが知られているCaspase8が放射線誘発アポトーシスの過程におていも活性化されることを見出した。さらに、Caspase8 inhibitorを用いることによって放射線誘発アポトーシスが抑制されることが示されたことから、Caspase8活性を調節することにより放射線誘発アポトーシスに対する感受性を調節できる可能性が示された。

研究成果

• [文献書誌] Hareyama M.,et.al.: "Prognostic Factors of nasopharynx tumors investigated by MR imaging and the value of MR imaging in the newly published TNM staging."Int.J.Radiat.Onool.Biol.Phys.. 43. 273-278 (1999)
• [文献書誌] Hareyama M.,et.al.: "Association of cyclin D1 expression with factors correlated with tumor progression in human hepatocellular carcinoma."J.Gastroenterol. 34. 1-8 (1999)
• [文献書誌] Adachi M.,et.al.: "Butyrate augments interferon-alpha-induced S phase accumulation and persistent tyrosine phosphorylation of cdc2 in K562 cells."Br.J.Cancer. 79. 1018-1024 (1999)
• [文献書誌] Adachi M.,et.al.: "BAG-1 accelerates cell motility of human gastric cancer cells."Oncogene. 18. 3244-3251 (1999)
• [文献書誌] Imai k.,et.al.: "Direct suppression of TCR-mediated activation of extracellular signal-regulated kinase by leukocyte protein tyrosine phoshatase, a turosine specific phosphatase."J.Immunol. 163. 1282-1288 (1999)
• [文献書誌] Imai K.,et.al.: "Protein kinase Cα promotes apoptotic cell death in gastric cancer cells depending upon loss of anchorage."Oncogene. 18. 5604-5609 (1999)