研究課題/領域番号 |
11470195
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田中 良明 日本大学, 医学部, 教授 (20023806)
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研究分担者 |
齋藤 勉 日本大学, 医学部, 講師 (80139120)
佐貫 榮一 日本大学, 医学部, 助教授 (50142500)
浦橋 信吾 日本大学, 医学部, 助教授 (10059488)
河守 次郎 日本大学, 医学部, 助手 (10224867)
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キーワード | 温熱療法 / RF誘電加温 / サーモシミュレーション / 温度パラメータ / 等価加温時間 / サーマルファクター / 温熱致死効果 |
研究概要 |
癌温熱療法において、加温の際の温度パラメータと治療効果との関係は未だ十分に解明されているとは言い難い。そこで温度解析法の一環として、腫瘍内実測温度とサーモシミュレーションよって得られた温度(以下TS温度)を比較検討し、局所治療効果との関係を解析した。体内深部臓器の温度実測は困難であるため、皮膚温度を用いてTS温度の補正を行い、TS温度に基づく等価加温時間(以下TF)と温熱治療効果の関係について解析した。 温度解析した症例は乳癌3例、肺.縦隔腫瘍4例、頭頸部癌3例、消化器癌5例など計21例で、温熱療法はRF誘電加温装置(Thermotron-RF8)を使用して週1回、42℃40分間を目標に計2〜6回行い、全例に放射線治療を併用した。各症例の加温時間、RF波出力データの平均値を算出し、治療パラメータをサーモシミュレータに入力し、TS温度と温度分布を求めた。算出したTFは、Tmax、Tave、Tmin、teq43Tmax、teq43Tave、teq43Tmin、teq43T90、teq43T50、teq43T10で、腫瘍内温度計測の実施例では、TS温度と皮膚温度による補正温度と実測温度の三者を比較した。 実測温度とTS温度との差は、Tmax:1.39±1.34℃、Tmin:-2.37±1.67℃、Tave:-1.81±1.29℃であった。皮膚温度で補正したTS温度と実測温度との差は、Tmax:0.27±4.1℃、Tmin:-0.162±5.34℃、Tave:-0.84±3.91℃であった。補正したTS温度を適用することにより実測温度との差はより少なくなり、サーモシミュレーションの精度が向上した。局所一次効果はCR2例、PR10例、NC9例で、CR例、PR例のteq43T90、teq43Tmin、teq43Tmax、teq43Tave、teq43T90、teq43T50の比較では両者に差はないが、CR例の方がTFは長い傾向にあった。皮膚温度を用いてTS温度を補正することによりサーモシミュレーションの温度表示精度は向上し、TS温度補正によるTFは温熱治療効果の予測に有用であることが示唆された。これらの結果は、第3回アジアハイパーサーミア学会(中国、鄭州)および第1回エジプトハイパーサーミア学会(カイロ)で発表した。
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