研究課題/領域番号 |
11470199
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 光源 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70033321)
|
研究分担者 |
伊藤 千裕 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60292330)
大津 浩 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60250742)
谷内 一彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787)
窪田 恭彦 東北大学, 医学部・附属病院, 医員
|
キーワード | 精神分裂病 / 覚醒剤精神病 / 逆耐性現象 / メタンフェタミン / ヒスタミン |
研究概要 |
精神分裂病の病態とヒスタミン(HA)神経系の関係を明らかにするために、精神分裂病のモデルとされるメタンフェタミン(METH)逆耐性現象についてHAの合成酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素遺伝子ノックアウト(HDC-KO)マウスおよびヒスタミンH1、H2受容体遺伝子ノックアウト(H1-,H2-KO)マウスを用いて検討した。HDC-KOおよびH1-、H2-KOマウスとそれぞれに対応する野生型マウスにメタンフェタミン(1mg/kg)を腹腔内投与し、移所運動量の変化を計測した。さらに、METH(1mg/kg)14日間連続投与し、逆耐性現象の形成を評価した。その結果、HDC-KOマウスにおいてMAP急性投与による移所運動量の増加が野生型に比べて大きく、その持続時間が延長していた。また、MAPを連続投与すると、逆耐性現象がHDC遺伝子KOマウスでより早く形成された。H1-,H2-KOマウスにおいては、METH急性運動効果と逆耐性現象形成に関して野生型と有意差を認めなかった。中枢HAは覚醒アミンとして働く一方で、METHの急性運動効果と逆耐性現象形成過程に対して抑制的に作用していることが明らかになった。また、H1あるいはH2受容体の欠損はもう一方の受容体によって代償されていることが明らかになった。これらのことからHA神経系は急性精神病状態および精神病の再発脆弱性の形成過程に抑制的に作用している可能性が示された。 また前年度から引き続き、慢性精神分裂病患者におけるヒスタミン受容体遺伝子の遺伝子多型の検討と、ボジトロンエミッショントモグラフィー(PET)を用いた、分裂病患者と健常者のヒスタミン受容体占拠率の検討をするための準備として、ICD-10の診断基準を満たす、寛解期にある精神分裂病患者をえらび、インフォームドコンセントを得た上で、患者の臨床症状を評価尺度により評価した。
|