研究課題/領域番号 |
11470205
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
一瀬 白帝 山形大学, 医学部, 教授 (10241689)
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研究分担者 |
久野(小関) しおり 山形大学, 医学部, 助手 (70312741)
惣宇利 正善 山形大学, 医学部, 講師 (20292419)
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キーワード | トランスグルタミナーゼ / 遺伝子発現 / 放出機構 / 遺伝子ノックアウト / マウスゲノム / XIII因子欠損症 |
研究概要 |
1.XIIIA遺伝子を標的したノックアウトマウスを作製し、野生型とノックアウトマウスの組合せ4種類の交配を行なうと、XIIIA KO同士では野生型同士の交配に比べて出産数が少なく、自然流産を頻回に起こす妊娠雌マウスがみられた。ほとんどの雌マウスは妊娠期に膣からの大量出血で死に至った。妊娠期に大量出血で死亡した、XIIIA KO同士で交配した雌マウスの開腹を行なうと血液で充満した子宮ならびに貧血を呈した肝臓が認められた。他の臓器には異常がなく、子宮以外の箇所での出血も認められなかった。病理診断の結果、子宮内胎児死亡、ならびにこの胎児でのSpongiotrophic Zoneの発育不全が示唆された。連続薄切切片では、母体側の胎盤絨毛部位での明らかな出血性病変が認められた。これらの所見はXIII因子が妊娠期における子宮内止血に重要な役割を果たしていることを示唆している。 2.8週齢のXIIIA KOマウスのホモ接合体、ヘテロ接合体、野生型マウスの各2匹の背部を悌毛し、メスで真皮層まで1×1cmの範囲で切除した。創は開放のままSpecific Pathogen Free(SPF)室で飼育を継続して施術7日後に比較したところ、ヘテロ接合体、野生型マウスの背部の傷痕は全体が乾燥した褐色の痂皮に覆われていた。一方、ホモ接合体マウスの傷痕は潰瘍化して深く、その表面は湿潤で赤橙色、不規則、軟弱であった。ヘテロ接合体、野生型マウスの背部の傷痕の組織学的な所見は、好中球を主体とする炎症性細胞の集積がみられるものの肉芽組織と瘢痕組織が切除部の一部を充たしていた。創との境界部の再生表皮は、真皮との連続性を保ちつつ伸長していた。一方、ホモ接合体マウスの傷痕の断面には、高度の肉芽組織の集積がみられ、瘢痕組織の発達は極めて低調であった。今後、本マウスにヒトXIII因子製剤を投与して変化を追究したい。
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