研究概要 |
lipofectin法を用いたMARCO : mitochondrial antisense RNA for cytochromec oxidaseのin vivo効果の検討。MARCO発現プラスミドをlipofectin法を用いてマウスB細胞白血病株MOPC、T細胞白血病株EL-4、及び骨髄単球性白血病細胞株WEHI-3Bに遺伝子導入を行なった。導入効率は10%程度であったが、in vitroでの細胞死誘導能を細胞数で経時的に観察したところコントロールと比較して有為に減少が確認された。次にin vivoでの後抗腫瘍効果を担癌マウスに腹腔内、及び経静脈投与して観察すると、MARCOをlipofectin法で3日間投与した群では、いずれの細胞の担癌マウスにおいても4週程度の生存率の延長が認められた。2週間投与では、3ヵ月以上の生存延長が観察された。投与量依存性も確認された。生存率の上昇は、経静脈投与、及び白血病芽球腫への直接投与においても同様に観察された。副作用は、lipofectin投与12時間から24時間後の白球数の低下のみで、主要臓器への影響は病理組織像でも認められなかった(白藤、他。投稿中)。次にAdax法を用いたMARCOのin vivo効果をlipofectin法とで比較した。Adenovirus由来cosmid shattle vectorを用いてrecombinant Adex-MARCO virusを作成し、上述のマウス白血病細胞株に対するin vitro遺伝子導入効率は50%程度であった。in vitro, in vivo抗腫瘍効果はliposome法がAdex法にまさっていた(白藤、他。投稿中)。以上の結果よりdrug delivery systemとしてlipofectin法を用いたMARCOの遺伝子治療が白血病に対して有用性を認めることが明らかとなった。 今後はより副作用の少ないRNAiを用いた遺伝子治療へと発展させていく方針である。
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