未使用の腹膜透析液中に3-DGが高濃度で存在することを明らかにした。グルコースを含む透析液を酸性条件下において高温で滅菌することによりグルコースの分解産物として3-DGが生成すると考えられる。使用後の腹膜透析液中の3-DG濃度は低下しており、毎回の腹膜透析操作により3-DGが体内に負荷されていることになる。従って、長期の腹膜透析により多量の3-DGが体内に負荷されることにより腹膜のAGE化(イミダゾロンなど)が起こり、硬化性腹膜炎が発症すると思われる。最近、腹膜透析液中の3-DG濃度を低下させるため、隔壁2室バッグとし中性にした腹膜液(ミッドペリックLなど)が開発されている。我々の成績でも、隔壁2室バッグとし中性にした腹膜液中には3-DG濃度の減少が認められた。また、滅菌を加温せず膜濾過により行った腹膜透析液では3-DG濃度は検出限界以下となった。これらの3-DG濃度の低い腹膜透析液をくり返し灌流したin vitro実験では、高濃度の3-DGを含む腹膜透析液に比較してイミダゾロンの生成が著明に低下した。
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