研究課題/領域番号 |
11470219
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
冨田 公夫 熊本大学, 医学部, 教授 (40114772)
|
研究分担者 |
北村 健一郎 熊本大学, 医学部, 助手 (10304990)
野々口 博史 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (30218341)
|
キーワード | 一酸化窒素 / 急性腎不全 / アルギナーゼ / 近位尿細管 / 虚血性急性腎不全 |
研究概要 |
一酸化窒素(NO)は血管拡張性物質で少量でその作用を持つが、大量に存在する場合には細胞毒性を生じ、炎症物質として作用することが知られている。急性腎不全の予防のためには、少量の血管拡張性を持つNOは重要であるが、細胞毒性を持つ大量のNOの発生は阻止しなければならない。そこでNOの基質であるアルギニンを尿素とオルニチンに変えるアルギナーゼについて検討した。まず腎におけるアルギナーゼII型に対する家兎抗体を作製し腎内存在部位の組織学的に検討した。腎では分子サイズがおよそ36kDaにバンドが認められた。アルギナーゼII型cDNAをサル腎臓由来細胞のCOS-7細胞に導入し、II型アルギナーゼタンパクの発現をウエスタンブロットで解析すると、2本のバンドが得られた。これらは、まだミトコンドリアに移行していない前駆体タンパクとミトコンドリアに移行してプレ配列部分が切断されて生じた成熟体タンパクに相当すると考えられた。尿細管部位別に検討すると、近位尿細管に強く染色された。細胞の染色パターンをみると、サイトゾルに小さな顆粒状を呈しており、ミトコンドリア酵素であることを示している。これらより、アルギナーゼII型は虚血性急性腎不全および薬剤性腎不全において最も障害されやすい近位尿細管に存在することがわかった。 虚血性急性腎不全および薬剤性腎不全における動態には、現在まではっきりした傾向が無く、障害の程度や部位により異なる可能性があり、現在さらに詳細な部位別の発現に関して、microdissectionによる検討や、laser capture microdissection法などのよる方法を検討している。
|