研究概要 |
IgA腎症、疾患コントロール(非IgAN慢性糸球体腎炎)、および正常腎組織を、それぞれ最少10ケース分ずつプールし、市販の複数のナイロン製cDNA array(GenomeResearch,Research Genetics,Clonetech他)へのハイブリダイゼーションを行い約5000の遺伝子について、発現強度の増減を観察した。IgA腎症と疾患コントロールでは多くの共通の遺伝子が、正常群に対して変動を示したが、一部の、特に(1)細胞外基質および関連遺伝子、(2)アポトーシス関連遺伝子、(3)サイトカイン、成長因子に分類される遺伝子にはIgA腎症特異的な変動も観察された。 これらの結果に基づき、上記3カテゴリーに加えて、(4)細胞表面マーカー、(5)ハウスキーピングジーンの5つのカテゴリーに属する、約500の遺伝子の一部をPCR法によって増幅精製し、マイクロアレイヤーを用いてスモールスケールのマイクロチップを作成した。IgA腎症と疾患コントロール群は、疾患の進行度に応じて4段階に分類し、それそれのグループの5-10検体から抽出したRNAを、個別に蛍光色素で標識し、他の蛍光で標識した、正常腎プールの対照プローブと混合してハイブリダイゼーションを行った。得られた結果は複数の方法により解析を行い、最終的に特異遺伝子候補として残った、十数種類の遺伝子について、in situ hybridization,RT-PCR等の方法で発現の強弱を確認した。
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