研究概要 |
18,326遺伝子対がプリントされた高密度cDNA arrayを用いてIgA腎症患者の腎組緯における遣伝子の発現パターンを解析した。IgA腎症腎54例を対象とし、組織障害度を対応させた、同数の非IgAN慢性糸球体腎炎および、腫瘍性疾患などのため摘出された腎臓の健常部分をコントロールとして用いた。発現が認められた遺伝子は機能別に分類し、発境強度を各グループ間および、IgA腎症の異なった組織障害度群間などで比較した。データの解析は、クラスタリング等の統計学的手法を専用のソフトウェアを用いて行い、Self Organizing Map (SOM)を作成することにより疾患および組織障害度特異的に変動する遺伝子同定を行った。18,326遺伝子中、約3000-7000の遺伝子群が各検体で検出され、そのうち約1000種類は、遺伝子全長の塩基配列が同定されている既知遺伝子であった。既知遺伝子中、Array法で疾患特異的変動パターンを示した遺伝子についてはすべて、RT-PCR法、reverse northern法などにより発現パターンを再確認し、更にin situ hybridization法により腎組織中の局在まで決定した。臨床データ等も含めたすべてのデータは市販のソフトウェアを用いてデータベース化し、今後のdata miningの基礎データとして活用できるように処理を行った、ESTについては既知遺伝子よりも更にデータ量が多くなるために、現段階では未処理であるが、将来的には、既知遺伝子と同様なプロセスで解析を行い、疾患に関連する未知の遺伝子の同定を試みる予定である。
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