研究概要 |
1.破骨細胞前駆細胞におけるsRANKLによる初期誘導遺伝子群の同定 まずtoolとしてマルトース結合タンパクとヒトRANKLの細胞外領域との融合タンパクを作成・精製した.このMBP-hsRANKLは確かにマウス脾細胞をM-CSFの存在下で破骨細胞に分化させた.次にsRANKによりマウス脾細胞および破骨細胞前駆細胞株C-7を4時間刺激し,精製したpolyA^+RNAと非刺激controlとのdifferential displayを行うことより幾つかの候補遺伝子を同定した.現在,これらの遺伝子の発現誘導の確認およびシークエンスを進めている.このように未知の標的遺伝子の同定を進める一方,破骨細胞分化に重要あることが知られている転写因子AP-1およびMITFの発現変化に関しても,検討している.また転写因子モチーフをもとにしたprimerによりsuppression PCR法を行い,RANKLの標的転写因子の選択的なサーチも行っている. 2.骨髄腫細胞(MM)による破骨細胞分化促進作用の検討 MMによる破骨細胞分化促進作用の大部分はMMが産生するMIP-1により説明し得ることが明らかとなった.またMMまたはMIP-1による破骨細胞分化促進作用はMMの発現するVLA-4または骨髄間質細胞が発現するそのリガンドVCAM-1に対する中和抗体で抑制されたことから,このintegrin作用が重要であることが示された.さらにMMあるいはMIP-1の作用はRANKLのdecoy受容体であるOPGの添加によりほぼ完全に抑制されたことから,RANKL作用に依存していた.現在,RANKLの発現あるいはVLA-4に対するMIP-1の直接作用を含めて,これらの調節因子の相互作用についての解析を進めている.
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