研究課題/領域番号 |
11470229
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
武田 純 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (40270855)
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研究分担者 |
戸村 秀明 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (70217553)
堀川 幸男 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (10323370)
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キーワード | HNFカスケード / MODY / 転写因子 / 核内受容体 / 肥満 |
研究概要 |
HNFカスケードはMODY発症において重要な経路である。我々は新規MODY遺伝子をこのカスケードの中で探索する過程で、転写因子HNF-4α(MODY1蛋白)と結合するオーファン核内受容体SHP(small heterodimer partner)遺伝子が「小太り」遺伝子であることを見い出した。 173例のMODY症例(肥満、86;非肥満、87)をスクリーニングした結果、5種類の遺伝子異常を6症例において見い出した。家系調査と関連解析の結果、SHP変異は軽度の肥満と有意に関連した。一方、連鎖解析の結果、MODY遺伝子とSHP変異とは互いに独立した遺伝素因であることが判明した。そこで、101例の非糖尿病の肥満児を同様にスクリーニングした結果、4種類の変異を6例に認めた。一方、116例の非糖尿病の非肥満児から変異は認められなかった(p<0.001)。 SHPはHNF-4αを含めた種々の核内レセプターの転写調節能を抑制する機能を有する。そこでHNF-4αの標的であるHNF-1α遺伝子のプロモーターとMIN6細胞を用い、ルシフェラーゼレポーターアッセイにより変異蛋白の機能解析を試みた。その結果、各々の変異蛋白によるHNF-4αの転写抑制能は種々の程度で有意に減弱していた。 本研究により見い出された「SHP異常型肥満症」は、レプチンー中枢経路とは異なる新しい経路の異常によるものと考えられる。一方、糖尿病のリスクになるかどうかの検討も重要であり、現在進行中である。従って特異的な病態を理解するためには、SHPを含めたHNFカスケードの下流の標的分子を同定することが重要である。
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