研究課題/領域番号 |
11470229
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
武田 純 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (40270855)
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研究分担者 |
戸村 秀明 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (70217553)
堀川 幸男 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (10323370)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 2型糖尿病 / 遺伝子異常 / 多因子疾患 / 肥満 / インスリン分泌 / MODY / 転写因子 / マイクロアレイ |
研究概要 |
我々は新規MODY(maturity-onset diabetes of the young)遺伝子をHNF転写因子カスケードの中で探索する過程で、HNF-4α(MODY1蛋白)と結合するオーファン受容体SHP(small heterodimer partner)遺伝子がインスリン抵抗性を伴う「小太り」遺伝子であることを見い出した。連鎖解析を用いてMODY家系を解析しMODY遺伝子とSHP変異とは互いに独立した遺伝素因であり、HNF-4αの抑制障害がインスリン過分泌を介して若年肥満を生じることを即に明らかにしている。一方、インスリン抵抗性の発症機序を解析するために、今年度はSHPの末梢におけるPPARγに及ぼす影響を検討した。その結果、野生型5HPはPPARγにリガンド非依存的に結合し、コリプレッサーと競合することによりその転写活性を亢進することを明らかにした。変異蛋白ではその抑制能は有意に減弱していた。最近、欧米でPPARγの変異を有する家系が報告されたが、この家系では肥満は認められないがインスリン抵抗性の発症が認められる。従って、SHP肥満におけるインスリン抵抗性は、少なくともある程度はPPARγの調節障害によるものと推定される。日本人の糖尿病者はインスリン分泌不全の体質を素地に有する。そこにインスリン分泌負荷となるSHP異常が新たに加わると、疾患発症リスクは増大すると想像される。そこで、2型糖尿病者と非糖尿病者約300例づつを同様にスクリーニングした結果、糖尿病群で10例、非糖尿病で1例のSHP異常を認めた(P<0.01)。すなわち、常染色体優性遺伝のSHP肥満は、成人以降の2型糖尿病発症のリスク因子であることが明らかとなった。以上の成績から、HNF-SHPネットワークは2型糖尿病と肥満の両者を統合して研究するために極めて重要である。
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