研究課題/領域番号 |
11470232
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石橋 俊 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90212919)
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研究分担者 |
原田 賢治 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
後藤田 貴也 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60322062)
島野 仁 筑波大学, 臨床医学系内科, 講師 (20251241)
大須賀 淳一 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 肥満 / 脂肪細胞 / ホルモン感受性リパーゼ / 不妊 / トリグリセリド / 遊離脂肪酸 / コレステロール / カテコラミン |
研究概要 |
肥満は、糖尿病、高脂血症、高血圧などの動脈硬化危険因子を伴いやすい。肥満は脂肪細胞に蓄積したトリアシルグリセロール(TG)量と脂肪細胞の数によって規定される。特に、脂肪細胞中に蓄積したTGの分解はカテコラミンなどのホルモンによる活性化調節を受け、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)が、その酵素活性を担うとされてきた。しかしながら、臨床的にはHSLの分子異常に起因する肥満症は発見されておらず、脂肪細胞の細胞内TG分解機構には多様性の存在が推測される。また、HSLは脂肪細胞以外の多様な臓器に発現しており、それらの臓器における機能の詳細は不明であった。そこで本研究では、発生工学の手法を用いてHSLのノックアウトマウスを作成し、その表現型を解析するとともに、脂肪細胞のTG分解酵素の特性について検討した。 GXSXGを含むHSL活性中心をコードするエキソン6をネオマイシンに置換するタイプのターゲティングベクターを用いてHSLノックアウトマウスを作成した。白色脂肪組織(WAT)、褐色脂肪組織(BAT)、精巣の中性コレステロール分解活性は感度以下に低下しており、nullのノックアウトであることが確認された。このマウスでは乏精子症に起因する男性不妊が観察された。体重増加曲線は野生型マウスとの間で差は認められず、褐色脂肪組織の肥大は認められたが、白色脂肪組織の肥大は観察されなかった。ところが、いずれの脂肪組織においても脂肪細胞の腫大は観察された。これらの事実から、脂肪細胞の多様性が示唆された。また、精巣のTG分解活性は欠損するが、WATやBATでは有意な残存活性が検出された。イソプロテレノールによる脂肪分解活性も、野生型マウスに比較して低下しているものの、明らかな残存活性が存在していた。TGリパーゼ活性もHSLとは異なる細胞内TGリパーゼの存在が推測された。
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