1型糖尿病は遺伝因子と環境因子の相互作用により発症し、しかも遺伝子が複数の疾患感受性遺伝子により構築されている多因子疾患である。このような多因子疾患の遺伝子解析を効率よく進めることを目的として、従来単一遺伝子疾患に用いられてきた手法とは異なる新たな解析ストラテジーをモデル動物・ヒトの両面から構築し、糖尿病の疾患感受性遺伝子の解析に応用した。1型糖尿病のモデル動物であるNODマウスで第3染色体上にマップされているIdd3の候補遺伝子インターロイキン2(I12)に関して、NODと同一の変異を有し、かつ周辺の遺伝マーカーがNODと異なる組替え染色体を有する系統(IISマウス)をNOD関連系統の中に見出した。IISマウスの第3染色体をNODに導入したコンジェニックマウスをスピードコンジェニック法を用いて作製し、表現型を小生に解析した結果、NODと同等の1型糖尿病発症率を示したことからI12がIDD3そのものである可能性を示した。また、我々が新たに見出し、その局在を解析しているMHC領域の1型糖尿病遺伝子の第2のコンポーネントIDD16に関して、ヒト対応領域に存在する候補遺伝子の検索を進めた結果、class I HLA領域に存在しNK cellの活性化に関与するMICA(MHC-class I chain-related gene A)の多型が1型糖尿病の多様性、特に発症年齢に関連することを見出した。
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