遺伝因子と環境因子の相互作用により発症し、しかも遺伝因子が複数の疾患感受性遺伝子により構築されている多因子疾患である1型糖尿病の遺伝子解析を効率よく進めることを目的として、従来単一遺伝子疾患に用いられてきた手法とは異なる新たな解析ストラテジーをモデル動物・ヒトの両面から構築し、糖尿病の疾患感受性遺伝子の解析に応用した。1型糖尿病のモデル動物であるNODマウスで第17染色体上にマップしたIdd16のコンジェニックマッピングを進め、領域を局在化させるとともに、候補遺伝子であるTnfの機能解析を行った結果、Idd16そのものである可能性は低いことを明らかにした。第3染色体上にマップされているIdd3の候補遺伝子インターロイキン2(II2)に関して、NODと同一の変異を有し、かつ周辺の遺伝マーカーがNODと異なる組換え染色体をNODに導入したコンジェニックマウスをスピードコンジェニック法を用いて作製した結果、NODと同等の表現型を再現したことからII2がIdd3そのものである可能性を示した。
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