研究課題/領域番号 |
11470235
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
奥芝 俊一 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (70185536)
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研究分担者 |
瀧本 将人 北海道大学, 医学部, 講師 (30179585)
葛巻 暹 北海道大学, 医学部, 教授 (80091445)
加藤 紘之 北海道大学, 医学部, 教授 (80002369)
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キーワード | 食道癌 / 癌遺伝子治療 / N116Y / Ras / ベクター |
研究概要 |
Ras抑制蛋白であるN116Yを用いた癌増殖抑制の研究は、これまでに報告されていた膵癌や胃癌などにとどまらず、食道癌においても極めて有効であることが確認された。また、N116Yが食道癌細胞において、増殖に必要なErk2の活性化を抑制し、細胞周期を停止させるメカニズムを確認した。 現在多くの施設で行われているp53による遺伝子治療は、癌細胞自体のp53に変異がない場合やその下流に異常がある場合は効果がみられないため、症例によっては使えない状況が数多く存在すると考えられる。ところが、細胞の増殖にとって極めて重要な蛋白であるRasを抑制することを目的とした我々の試みは、多くの腫瘍でその効果が確認され、今後最も注目される遺伝子治療の材料の一つとなることが予想された。 今回、N116Y遺伝子を癌細胞のみで発現させるシステムとして、腫瘍特異的プロモーターをN116Y遺伝子とともに組み込んだアデノウイルスベクターを開発し、それが正常細胞には全く影響を与えずに、癌細胞のみ増殖を抑制することが確認された。つまり、副作用のない抗腫瘍ベクターモデルの開発に成功した。 現在、更に多くのプロモーターを検討中であり、より副作用の少ない、かつ効果の大きなベクターを開発中である。
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