研究分担者 |
中西 加寿也 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (80272326)
志賀 英敏 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (20282478)
織田 成人 千葉大学, 医学部, 助教授 (90204205)
仲村 将高 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (30315436)
松田 兼一 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (60282480)
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研究概要 |
近年,侵襲により産生された炎症性サイトカインが全身を循環する全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome, SIRS)が多臓器不全(multiple organ failure, MOF)発症の背景病態として注目されている.本研究では,持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF),なかでもPMMA(polymethyl methacrylate)膜ヘモフィルターを用いて施行するPMMA-CHDFによる血中サイトカインの除去効果について検討した.PMMA-CHDFの血中サイトカインのクリアランスは,サイトカイン血中濃度と有意に相関しており,血中濃度が高いほどクリアランスが高値であった.さらに,サイトカイン血中濃度が高い症例ではPMMA-CHDF施行により血中濃度が有意に底下する一方で,生体維持に必要な最小限度のサイトカインは体内に残存しており,cytokine modulatorとして有効であると考えられた.また,PMMA-CHDF施行によるサイトカインモデュレーションに伴い,細胞障害度を表すCISスコア,全身の重症度を表すAPACHEIIスコア,呼吸不全の重症度を表す呼吸係数に改善が認められ,さらにそれぞれの改善度とサイトカインの改善度との間に有意な相関が認められた.他にもうっ血性心不全や,敗血症性ショックについてもPMMA-CHDFの臨床上の有効性が認められた.一方,sepsisやMOFなどの過剰な侵襲下では好中球のアポトーシスが遅延し,そのことがより炎症や臓器不全を悪化させる可能性があることが知られている.本研究では,PMMA-CHDF施行によるサイトカインモデュレーションを介して,好中球アポトーシスが制御可能か否かについても検討した.その結果CHDF施行症例において,CHDFによるIL-6血中濃度の低下と末梢血中PMNのapoptosis遅延の改善に相関の傾向が認められた.
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