研究課題/領域番号 |
11470248
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
守 且孝 熊本大学, 医療短期大学部, 教授 (10040213)
|
研究分担者 |
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
キーワード | Unresponsiveness / Dendritic cell / CD45 / CD62L / CD80(B7-1) / CD86(B7-2) / CCR5 / CCR7 |
研究概要 |
ラット肝移植モデルを用いて移植前ドナー抗原投与(ドナー血輸血)による特異的免疫学的寛容状態を誘導した。肝移植後のレシピエントの脾臓を採取し、抗ラット樹状細胞(DC:dendritic cell)抗体(OX-62)を用いてsplenic DCを単離した。splenic DCにおける白血球共通抗原のアイソフォームの一つであるCD45RCの発現状態のFACS解析を行った。CD45RC^+OX62^+ cellとCD45RC^-OX62^+ cellの2つのフェノタイプが存在することが判明した。CD45RC^-OX62^+ cell/CD45RC^+OX62^+ cellの比率は無処置群に比し、ドナー抗原投与投与群で有意に高かった。脾臓に遊走したOX62^+ cellの細胞表面におけcostimulatory moleculeであるCD80(B7-1)及びCD86(B7-2)の発現についてFACS解析を行った。ドナー抗原投与群では、無処置群に比較してCD80及びCD86の発現が有意に低く、immature DCである可能性が示唆された。これらのDCについてPCR法を用いてサイトカインの分泌パターンを検索した。CD45RC^+OX62^+ cellはIL-2、CD45RC^-OX62^+ cellはIL-4、IL-10のmRNAを発現しており、CD45RC^+OX62^+ cellとCD45RC^-OX62^+ cellをそれぞれDC1及びDC2であることが示唆された。無処置群とドナー抗原投与群におけるOX-62^+ cellの脾臓内分布の違いについて、homing receptorの一つであるCD62L(P-selectin ligand)の発現を検索した。脾臓内のOX62^+ cellにはCD62L^+OX62^+ cellとCD62L^-OX62^+ cellのフェノタイプが存在することが判明した。血管外組織への細胞の遊走浸潤機序はリンパ節と脾臓では異なることが報告されている。リンパ節では、high endothelial venules(HEV)に発現するhoming receptorを介する接着に起因することが知られている。しかし、脾臓にはHEVが存在しない。脾臓におけるHEVに相当する組織として、marginal zoneがある。marginal zoneでの接着機序の違いによって移植肝より遊走したDCがwhite pulp或いはred pulpへと分布するものと推測された。また、これら2群のDCに関して、CC chemokine receptor 5(CCR5)及びCCR7の発現をPCR法にて検索した。CD45RC^+OX62^+ cellはCD45RC^-OX62^+ cellに比較してCCR7の発現が有意に増強していた。一方、CD45RC^-OX62^+ cellはCD45RC^+OX62^+ cellに比しCCR5の発現が強かった。immature DCはCCR5を発現しているが、mature DCではCCR7の発現へと変わることが知られており、CD45RC^+OX62^+ cellはmature DCで、CD45RC^-OX62^+ cellはimmature DCであることが示唆された。
|